「蓮、また今日も行くのか?」

眉をひそめながら尋ねる社さんに俺は何食わぬ顔で肯定を示した。

瞳の奥に込められた難色を綺麗に無視しながら。


スマイル0円のゆくえ②-1


紳士で大人、それが敦賀蓮という俳優の商品イメージだ。

今までそのイメージ戦略に異を唱えたことはなかったし、イメージ通りの振る舞いを心がけていたつもりだ。

イメージ戦略はこの業界で生き残る上で大事なものだ。

だから俺が最近繰り返している『敦賀蓮』らしくない行いに社さんが懸念を抱く気持ちは良く分かる

だけど、理解していてもあの子に声をかけずにはいられなかった。




あの子を見つけたのは偶然だった。

きっかけは俺が野外ロケの休憩中に散歩していた時、ファストフード店の前で急いでいたあの子とぶつかったことだ。彼女は申し訳なさそうに謝罪し店の中に入っていった。
『バイトの子だろうか?大変だな。』随分と慌てた様子だった彼女に対して俺が抱いた印象はそんなものだった。ふと道に転がっているあるモノを見つけるまでは。それを見つけた時、俺は息が止まるかと思った。
そこにあったのはかつて俺の手元にあった蒼い石だった。

何故ここにキョーコちゃんがいるのか。あの子は京都にいたはず。それに今は学校に行く時間帯じゃないのか。

様々な疑問が俺の頭の中に浮かぶ。
時計を見る。まだ、時間は大丈夫だ。そう確認した俺は彼女が入っていった店の中へと足を進めた。


こんにちは。ののはなです。

 

このブログはスキビ好きが好きなように妄想を書き綴っているブログです。

 

基本的に思いついたままに書き出すので、続き物だとしても完結させてから次というような形はとっていません。

 

書きたいときに書きたいものを書いています。

 

こんな気まぐれなブログですがよろしくお願いします。

最初に感じたのは浮遊感

 

動かない身体で真っ暗な視界で何もわからない中で確かなものはそれだけだった

 

落ちる

 

死んじゃうのかな、私

 

でも、それもいいかもしれない

 

地獄まで持っていこうと決意した恋心は積もり積もって大きくなった

 

隠せないくらいに

 

神様からの罰だと思った

 

決意が揺らぎそうになっている私に身の程をしれと言われたのだと

 

だから決意がこれ以上揺らぐ前に地獄へ行かなくてはいけないのだろう

 

他ならぬ敦賀さんの想い人の手によって

 

 

 

どんどん近くなる地上、時間を置かずに地面に叩きつけられた

 

最後に聞こえたのは悲鳴

 

 

何も感じなくなれば敦賀さんへの想いから解放されるだろうか

 

もう目なんて開かなければいい

 

最上キョーコを無くして欲しい

 

朦朧とする意識の中でそう願う

 

もう色々と疲れてしまったのかもしれない

 

暗くなる、遠のく意識

 

キョーコは抵抗しなかった

 

【つづく】

 

 

【IF】もしキョーコが森住仁子とそのマネージャーにあのまま落とされていたら

暗くてすいません。

「やぁ、キョーコちゃん。今日も可愛いね。」

 

「おはようございます。ご注文はお決まりでしょうか?」

 

にこやかにナンパする男と見事なマニュアル対応をする少女。都内の某ハンバーガーショップで最近恒例となっている光景である。

 

こんなナンパなんてどこでも見れるだろと言ってはいけない。何故ならナンパをしている男がどこにもいないレベルの男だからだ。

 

男の名前は『敦賀蓮』抱かれたい男No.1にして芸能界一いい男という異名を持つ超売れっ子俳優様である。

 

 

スマイル0円のゆくえ①

 

 

最近私は疲れている。原因はあの何かにつけてバイト先に現れるあの迷惑俳優だ。

 

『敦賀蓮』大好きなショーちゃんが大嫌いな俳優。いつも私を指名して注文しオマケに甘い言葉をバーゲンセールのように振り撒いて帰る男。

 

も〜〜〜‼︎何なのよ!敦賀蓮!

 

そんな顔してるんだからこんな小娘相手にしてる暇あるならナイスバディなお姉様達を落としてきなさいよ!ショーちゃんの敵は私の敵なんだから!

 

君の心からのスマイルが欲しいですって!?誰がやるもんですか!

 

そしてキョーコは今日も営業スマイルを蓮にお見舞いするのだ。

 

 

《つづく》

 

【IF】もしショータローと一緒に住んでた時期にバイト先で蓮と出会っていたらという妄想の産物。

この時キョーコはショーちゃん一筋なので蓮には塩対応です。

「彼女の紅葉は素晴らしかった。あれほど強い想いを向けられた志津摩は幸せ者だ。今度は是非彼女の相手役をやってみたい。そしてその想いをプライベートでも向けてくれたら嬉しいですね。」

 

「君が彼を想っているのは知ってるよ。でも片想いなんだろう?紅葉が志津摩にしていたような辛い片想いをするくらいだったら、俺を選んでよ。俺は悲しませないよ。」

 

そう言った彼はまるで大切な宝物に触れるように私の髪を撫でた。

 

【彼女の幸せ】

 

「泥中の蓮」の舞台挨拶。主演の古賀弘宗が記者に京子が演じる紅葉について質問された時、その爆弾は落とされた。

 

抱かれたい男NO2の公開告白

 

会場を騒然とさせた出来事は、すぐさまトップニュースとして大々的に報じられた。

新人の域を出ない京子がこのことで潰されてはいけない。LME側は突然降って湧いたスキャンダルに厳戒態勢を敷き対応に当たった。

だが事態はLME側が想定したものと違う展開をみせた。どうも多くの人が古賀とキョーコの仲を好意的に受け止め、応援しているのだ。

 

古賀と京子では、知名度や人気においてまだまだ差がある。尚且つ古賀は抱かれたい男NO2だ。熱狂的な女性ファンが多くいることは想像に容易い。明らかにキョーコ側が叩かれる状況でありながら何故これほどに応援されているのか。それはキョーコが演じた紅葉が多くのものの胸を揺さぶったからだった。

 

主君と決めた相手を愛し、全てを捧げながらも決して振り向いて貰えない辛さや苦しみ、愛する者が選んだ自分と違う女性を妬みながらも、愛する者の幸せのために身をひかなければならない身を切るような痛みと覚悟、ドロドロとした醜い感情と痛々しいほどの一途さをキョーコは見事に演じきったのだ。

 

泥中の蓮は元々原作自体に熱狂的なファンを持つ人気作だが、主役の志津摩や千鳥ほど紅葉の人気は高くない。ヒロインの邪魔をする振られ役、ファンの間では負けヒロインのであり、サブキャラとしてのある程度の人気を保持しながらもその人気は主役を脅かすほどでは無い、そんな立ち位置として認識されていたキャラクターだ。だが、ここに来て風向きが変わってきている。

 

『千鳥は好きだけど、紅葉の気持ちが報われないと思うと辛い。』

『彼女には志津摩しかいないのに・・・。彼女に救いはないのか。』

『紅葉にも幸せになって欲しい。あんな片想い辛すぎる・・・胸が痛い・・・。なのになんであんなに美しいのか。』

 

痛々しいまでに美しい演技は、ファンの中で紅葉というキャラクターの人気を大きく押し上げる結果となった。そして同時に、ファンの中で紅葉が幸せになってほしいと願う声も大きくなっていったのである。

 

そんな時に巻き起こった今回の騒動。どうも紅葉役の京子は紅葉の様に辛い片想いをしているらしい。そして、そんな彼女に手を差し伸べ想いを伝えたのは紅葉が想っていた志津摩役の古賀弘宗だ。これにファンが食いつかないはずが無かった。

 

作品内で叶わなかった紅葉の幸せを京子が見つけてくれるかもしれない。志津摩役の古賀が彼女を救い出してくれるかもしれない。多くのファンがそれを期待した。

 

かくして古賀と京子の仲を後押しする応援団が大規模で結成されたのである。