「ちょっと散らかってるけど…。好きなとこに腰かけてよ」

 

そう言われて通されたユノの家。

 

「………」

 

いったい何人住んでんの?ってくらい、靴がいっぱい並んだ玄関。

なんとか隙間を見つけて靴を脱いだ俺は、部屋の入り口でそのまま固まってしまった。

 

「ユノ…?」

 

「ん?あ、飲み物何が良い?ビールにする?それともコーラとか…」

 

目が点になってる俺に気付かずに、ユノはキッチンから声をかけてくる。

 

「この部屋ってさ…」

 

「え?なぁに?」

 

ヒョイって覗くユノの顔。

部屋の主は、惨状を見慣れてるせいか、全然気にしてる様子はない。

 

「…どうしたの?ジェジュン」

 

「どうしたっていうかさ」

 

「うん」

 

「この部屋、いつ掃除した?」

 

「へ?掃除?」

 

「そう、掃除」

 

「いつだったかなぁ…?でも、一応してるよ?気が付いた時に…」

 

「………」

 

部屋のフローリングも、その上に敷かれたラグも。

その姿が見えないほど、無数に敷き詰められた洗濯物(当然、洗ってないヤツ!)たち。

 

二人掛けのソファの上は、読み終えた後の新聞や雑誌、仕事の資料なんかが、端っこがぐちゃぐちゃになった状態で、山の様に積まれてる。

 

かろうじて存在のわかるローテーブルの上には、いつの?って聞くのも恐ろしいペットボトルの群れが、蓋が行方不明のまま立ち並んでいるし、洗濯物たちが敷き詰められた床の上だって、こうしてよく見てみればティッシュとか食べ物のパッケージとか、なんだかいろんなゴミが放置されまくってる。

 

 

「…ジェジュン。もしかして、怒ってる?」

 

じっと黙ったまま入り口から動かない俺に、ユノがちょっぴり首をかしげて訊いてくる。

いや…怒ってるとか、そんなんじゃなくて…さ。

 

「掃除機、ある?」

 

「え?あ、うん」

 

キッチンから慌てて戻ってきたユノが、玄関脇の収納の中から掃除機を引っ張り出す。

…と、連鎖反応で次々に雪崩出てくる雑貨たち。

それらを手早く拾い集めて、何もなかったように押し込んで強引に扉を閉めるユノ。

 

「ユノ…」

 

「ん?」

 

「いや、なんでもない」

 

本当は…その収納の中も徹底的に片付けたい、けど。

今夜はもう、時間がないから見逃してやるっ!!

 

「さ、やろうっ!」

 

「え?」

 

「え?じゃなくて、掃除っ!!」

 

男の一人暮らしって言ったって、ここまで酷い状態の部屋を、俺は今まで見たことがない。

同じマンションに住んでるユチョンの部屋も、一緒に仕事するようになってから何度か遊びに行ったけど、いつもそれなりに片付けられていて、居心地のいい部屋だった。

 

「いいよ、ジェジュン。今夜は…」

 

「だめっ!!するの!掃除っ!!」

 

「…はぃ」

 

こうして…。

せっかくのほろ酔い気分も吹き飛んだ俺は、せっかくの『初♥ユノの家』だったにもかかわらず、カーテンの隙間から陽ざしが差し込むまで、大掃除をする羽目になった。