遠い遠い山の方

夜だというに鳥の声

鈴の音(ね)かしらと首傾(かし)げ

はらりと髪が揺れました

湯浴みのあとの濡れた髪

滲んだ肩の花模様

鳥は何処へ行ったやら

あとには何も聞こえません

春の冷えた夜なれば

閨(ねや)に早くに入りましょう

灯りの消えた庭先に

忘れな草の蒼だけが

静かに光って揺れていた

春の夜のことでした








Android携帯からの投稿