~吉本の事務所~
私はチョコチョコと
お兄ちゃんの後を
ついていった。
お兄ちゃんは
『ライセンス藤原と
NONSTYLE藤原です』
っとカウンターの
お姉さんに言うと
『あら、新人の
あれ?藤原さんの妹さん?』
ギクッ
焦った私とは逆に
お兄ちゃんは
冷静に
『妹やなくて
弟です』
っと言った。
『あら、すいません。
でわ、どうぞ』
『ありがとうございます』
お姉さんに
お礼を言って
お兄ちゃんの
後をついていった。
しばらく歩いて
人気のない所に
つくと、
いきなりお兄ちゃんが
振り返った。
『夢舞、お前これからも
あんな事
いっぱいあるやん
いちいちびくびく
すんな!
しゃんとせい!』
お兄ちゃんの大きな声
にビックリした私は
涙がでてしまった。
『ごっ、ごめんなさい』
目を手で抑える私に
『わりぃ~、そんなつもり
じゃあなかったねん。
ただな…』
っと言ったお兄ちゃんは
私をギュッとして
耳もとでささやいた。
『いつでも俺は
お前のみかたやから』
そして手で私の涙を
ふいてくれた。
そうしていると
後ろから声がした。
『兄弟なかいいですね~』
振り返ると
そこにわ
明が立っていた。
『お前、盗み見なんて
卑怯やぞ!』
『すんません。
ついつい…。
んにしても
泣き虫夢舞か
むっちゃ大きく
なったなぁ』
っと言った明が
私の背中に
自分の背中をつけて
言った。
『昔はよくこうやって
背比べしたなぁ。
夢舞はこんなに
ちっこかったのになぁ。
あっ、でも井上よりわ
でかいと思うで、
いくつになった?』
こんなに近くに
明がいるのは
いったい何年ぶりだろう。