師が祈っていると弟子たちがやってきて願った。

「先生、祈りを教えてください。」彼は次のように諭した。


二人の男が畑を突っ切って歩いていた。すると遠くから怒り狂った牡牛が猛然と駆けてくるのが目に入った。土埃を上げて突進してくる牡牛から逃れるべく、近くのさくの方へ進もうとしたが、とてもさくにはたどりつけないと観念せねばならなかった。一人が仲間に向かって叫んだ。

「もうだめだ。どうにもならん。祈りを唱えろ。」

仲間が叫び返した。

「祈ったことなんぞないんで、こういう場合の祈りを知らんのだ。」

「心配無用。追いつかれるぞ。どんな祈りでもいいのだ。」

「よし、ではおやじが食前に唱えていたやつにしよう。神よ、これからいただこうとしているものに、心から感謝します。」


現実をそのままに受け入れる、そうした潔さにまさるものはない。



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ある日、ラビが生徒にただした。

「何か困っていることがあるかね。」

「貧乏なことです。あんまり惨めで、勉強にも身が入らず、お祈りもできません。」

ラビは言った。

「優れて祈りかつ学ぶということは、きみがぶつかっているところをそのまま受け入れる生活にこそあるのだよ。」



                  『蛙の祈り』 アントニー・デ・メロ