人づてに、貴方が福山雅治が好きだと聞きました。たしか中学1年の時でした。

当時の福山雅治といえば、「MELODY」が大ヒットしていた頃です。


僕はすぐに福山雅治のCDを買い揃えました。少なかった小遣いを全部つぎ込んだのかもしれません。たくさん聞きました。何度も聞きました。二十歳になる頃まで毎日のように聞きました。


貴方がどの曲を好きだったのかはわかりませんでしたが、僕は「Dear」という曲が一番好きでした。この曲は、僕の気持ちを代弁してくれているようで、聴くたびに涙が溢れ出そうになります。

中学卒業してからみんなで記念に集まって行ったカラオケでも「Dear」を歌ったのですが、覚えていらっしゃらないですよね。


遠く 遠く 離れているけど

君を 君を 感じてる


遠く 遠く 離れているから

君が 君が 君が愛しくて




もう一曲、僕の気持ちを代弁してくれている歌があります。

「Heart」というシングルの2曲目に入っている「YOU」という曲です。

もう、貴方に会えないと思いながらこの曲を聴くと、涙が出てきます。


こんなに心震えるから

貴方のそばにいるだけで


こんなに心焦がれるから

貴方がそばにいるだけで


涙止む前に その前に

迎えに行くよ



貴方は今でも福山雅治を好きでいますか?もう会うことはないかもしれませんが、もし今度会えたら、福山雅治の話をしませんか?そのときのために、福山雅治のこと、今から予習しておきますね。

貴方がそばにいるだけで、胸が高鳴りました。ドキドキしました。


特に、全校集会の時は、最初から最後までドキドキしっぱなしでした。

当時、小学生だった貴方と僕は、さほど背丈も変わらず、お互いにクラスの真ん中あたりの背丈でした。全校集会や全校朝礼では、背の低い順に並ぶので、僕の隣は、いつも隣のクラスの貴方がいたのです。最初の内は偶然隣通しだったのかもしれませんが、いつしか、自分から貴方の隣に並べるように小細工をしていました。僕はだんだん身長が伸びて、背の順では後ろの方にいくはずだったのですが、自分からいつもの場所をキープするようにしていました。


でも、いくら隣に並べたとしても、話すこともないですし、顔をのぞき込むのも失礼ですし、ただ、隣にいるということを空気で感じるしかできませんでした。ですが、それが嬉しくてたまらなかったですし、それだけで十分でした。距離にして1mくらいまで近づくことができましたし、それ以上近づいてはいけない気がしましたので、それだけで十分でした。

貴方は、他の人とは比べものにならないオーラを放っていました。

触ってしまったらすぐに消えてしまいそうな粉雪のような印象でした。白くて、透明感があって、僕なんかが決して触ってはいけない人だと感じました。ステンドグラスに描かれた天使に太陽の光が降り注いでキラキラと輝いているような感じでした。

大人になった今でも、貴方より美しい人には出会ったことがありません。どんな芸能人や、モデル、女優も、貴方の美しさには適いっこありません。

ただ、女優の方で、一人だけ貴方によく似た人を知っています。「天使にラブソングを」に修道女役で登場するウェンディ・マッケナという方です。この方も、天使のような、美しい方です。


貴方に初めて会ったあの瞬間、あの時点で、貴方に恋心を抱いていた人は一体何人いたのでしょう。僕が小学生だった頃は、かわいい女の子に「かわいい。」と言うことは、からかわれたりいじめられたりする原因の一つだったため、恥ずべき行為とされていました。好きな人を目の前にしても、「好きじゃない、嫌いだ。」と言わなくてはならなかったのです。そういう風潮だったのです。なんて罪なことなんでしょうか。僕は、貴方のことが好きで好きでたまらないことを、人には言えず、自分の中で押し殺すことしかできませんでした。


僕が調べたところでは、貴方に好意を寄せている男子はいなかったのです。いや、実はたくさんいたのかもしれません。ですが、みんな、貴方のことには興味がないようなそぶりをしていたのかもしれません。


僕は5年生で転校してきたので、他の同級生は僕よりも4年以上も貴方と関わりがあったわけですから、貴方の美しさに見知らぬ顔をして4年以上も過ごしてきた同級生に、憎しみさえ感じました。ですがそれは、同時に、貴方を僕一人だけの物にするチャンスだったのかもしれません。

転校してきたばかりの僕は、できたばかりの友達と学校の中を歩き回っていました。同じクラスの友達とはすぐに仲良くなりましたが、隣のクラスの人は知らない人ばかりでした。

転校してきたばかりだったので、みんなは僕のことを知っていても、僕はみんなのことを知りませんでした。


そんなある日、仲の良い友達と二人で遊んでいたら、隣のクラスの女の子にこんなことを言われました。

「あんたのこと好きだっていう子がいるよ。」と。


そこで、その友達と一緒に、その子がどんな子か隣のクラスまでのぞきに行きました。冗談で好きと言ったのかも、それとも、例えばお笑い芸人が好きとかあのテレビ番組が好きとかそういう話をしていたら、いつの間にか話がすり替わっていたのかもしれません。とにかく、期待もせずに、おもしろ半分でどんな子なのかを見に行ったのです。


僕たちがのぞきに来たことを察した女の子達は、僕のことを好きだと言った(らしい)女の子を僕たちの前に連れてきました。


「あ・・・。」


電気が走りました。「お、かわいいじゃん。」とか、「へぇ。」っていうレベルではありませんでした。僕は今まで、こんなに美しい人を見たことがなかったし、大人になった今でも、その人を超える美しい人を見たことがありません。電気が走るという言葉以外に、あの時の様子を表現する言葉は見あたりません。


結局、数秒その子を見ただけで、その子はすぐに恥ずかしそうに走り去っていきました。


もう14年も前の出来事ですが、今でもその光景を鮮明に覚えています。その人が貴方で、貴方が僕の初恋の人です。

僕には、15歳までの貴方の記憶しかありません。ですが、夢でお会いしたあなたはすでに大人になっていました。


貴方に最後にお会いしてから、間もなく10年になります。10年前の3月、貴方の家の前で僕が貴方に告白をしたのが最後でしたね。


夢の内容ははっきりと覚えていません。ただ、貴方が僕の目の前で微笑んでいたことだけははっきりと覚えています。


数日前にも貴方の夢を見ました。この10年の間に、何度貴方を忘れようとしたことでしょう。でも、忘れようとするたびに貴方が夢の中に出てきては、僕の心を掻きむしります。


今朝も夢でお会いしたので、僕は一つの決断をしました。

「どうやら、貴方のことを忘れるのは不可能なようなので、今後、忘れないようにしよう。」と。

そう決断したとき、フッと心が軽くなりました。


あなたに初めてお会いしたのは、小学校5年生のときでしたね。秋の終わり頃だったので、お互いに11歳だったはずです。