犬
バンコク週報に興味ある記事が出ていたので転記します。

 タイ保健省は今年の狂犬病による死者が昨年を上回り、21人に達したことから、国民に感染警戒を呼びかけている。

 今年1月1日からこれまで、タイ76県中15県(バンコク、パトゥムタニ、サムットソンクラム、サラブリ、ナコンシタマラート、ナコンパトム、ブリラム、チャンタブリ、カンチャナブリ、ラチャブリ、ソンクラ、サムットプラカン、チェンマイ、サケオ、ラヨン)で狂犬病による死者が報告されている。

 狂犬病ウイルスは唾液の中に潜んでおり、多くはかまれることで感染。潜伏期間は9日から数年(通常20-60日程度)で、発症した場合の致死率はほぼ100%という恐ろしい病気だ。

 プラート保健事務次官は、「タイ人は狂犬病は暑い季節に流行するものと誤解しているが、実は、11月以降の乾季の感染例も多い」として、注意を及びかけている。というのも、この時期、犬が発情期を迎えるため、雌や縄張りを巡るトラブルから犬同士の争いが増加。これが、犬の間での狂犬病感染拡大にもつながるという。

 同省疾病予防局のタワット局長によれば、感染の96%が犬、3%が猫、1%がウサギなどその他の動物という。また、「タイ人の多くは、狂犬病に感染した犬は凶暴になると信じ込んでいるようだが、実際には凶暴になるケースと、うつ状態になるケースとの両方がある」と説明。うつ状態になった犬は暗闇を好み、何かの拍子に刺激を与えられると相手にかみつくという。

 このほか、喉に骨がひっかかったような症状を示す場合もあり、誤解した飼い主が喉の骨をとってあげようとして、知らないうちに感染するケースもあるとのこと。なお、今年最後の犠牲者は生後3カ月の子犬にかまれて感染している。

 一方、タイで狂犬病による死者が減らない理由として、昔からの間違った言い伝えを今でも信じていることが無視できないとタワット局長は指摘。特に地方で今でも信じている人が多いのは以下の8つ。
(1)「狂犬病は暑い季節にだけ感染する」
(2)「犬にかまれたら傷口を靴で叩けば感染しない」
(3)「犬にかまれた傷口を聖水で洗えば感染しない」
(4)「犬にかまれたら、その犬を殺して、肝臓を食べれば感染しない」
(5)「犬に噛まれたら、その犬の耳と尻尾を切り取れば、感染しない」
(6)「妊娠している者はワクチン接種ができない」
(7)「狂犬病は犬からしか感染しない」
(8)「ワクチン接種はヘソの周辺に14本、もしくは21本を連続して行う。途中で中止したら、
   最初からやり直す」

 なお、11月17日と12月7日、フィリピン旅行中に犬にかまれた日本人男性2人が、帰国後、狂犬病を発症、死亡したことを受け、在タイ日本大使館では、邦人に対して注意を呼びかける緊急メールを送っている。以下はその全文。

■狂犬病について(日本大使館からのお知らせ・12 月8日現在)

 去年11月20日、外務省では、狂犬病についての広域情報を海外安全ホームページに掲載していますので、下記にお知らせします。なお、タイでの一般的情報もあわせて以下のとおり記述しますので、邦人の皆様におかれては狂犬病の対策に万全を期してください。

【1】タイにおける狂犬病
 狂犬病は確かに恐い病気です。発病すれば死ぬ確率のとても高い病気だからです。タイでは、この病気で年間10~20人が亡くなっています。暴露後(狂犬病感染犬などに噛まれた後)予防接種件数も年間数十万人あるようです。タイでは、犬などに咬まれている方が多くいることが予防接種件数からわかります。世界で狂犬病のない国は日本や英国などに限られています。ほとんどの国に狂犬病が存在しています。タイにおいては、自治体が野犬対策を行います。バンコクの場合、住民からの通報があれば、バンコク都保健局獣医保健課(02-328-7460(タイ語)、02-248-7417 ex14(英語))が通報者の同意を得て当該野犬を観察し、場合によっては捕獲して去勢措置を行い、野犬を別の場所に移動させたりするようです。野犬対策は、宗教や文化的な背景もあり、国よって対策に違いがあります。

【2】犬などに噛まれたら
 狂犬病にはワクチンがあります。一般的な方法は暴露後予防接種と呼ばれる狂犬病に罹患した犬などに咬まれた後に実施する方法です。この方法の根拠の一つに狂犬病の潜伏期が非常に長いと言うことがあります。発病すれば治療は困難でも発病する前に抗体を作ってしまい、発病しないように措置するということです。暴露後予防接種の方法は、一般的には全部で6回行います。犬などに咬まれた場合、
(1)直ちに傷口を石けんと流水で十分洗い、エ  タノールなど消毒し、様子を見ると言うこ  とはせずに、
(2)その日のうちに最寄りの病院などに受診し  第1回目の予防接種を行ってください。その 後は、医師の指示に従い、日程通り、3日目、 7日目、14日目、30日目、90日目と予防接種を 行っていきます。なお、犬に咬まれる前に狂 犬病の予防接種を受けていても、6ヶ月以上 経過している場合には暴露後予防接種と同じ 日程で予防接種をすることになりますのでご 注意下さい。

【3】狂犬病を保有する動物
 前述のように犬などと書きましたが、狂犬病の対象となる動物はイヌだけではありません。ほ乳類は全てと言って良いでしょう。犬、猫、リス、コウモリ、キツネなどは代表的な狂犬病感染源動物です。もちろん、狂犬病に罹患していなければこれらの動物に咬まれても発病しません。羅患しているかどうかの目安は、観察しているとわかります。つまり羅患し、発病している動物のほとんどは1週間以内で死ぬからです。しかしながら、捕獲し、観察するのは大変ですので、上述のとおり様子を見るということでなく先ず予防接種をすることです。1週間経ても対象の動物が死んでいなければ大丈夫と判断してそれ以降の予防接種はせずに済むわけです。

【4】その他の注意事項
(1)タイで今年になっての犠牲者は全てこの暴露 後予防接種をしていなかったということが判 明しています。ペットを飼っている人も多い かと思います。ペットに狂犬病ワクチンをす るのは当然です。自分が罹患しない観点から と同時に他人に感染させないという点からも 大事です。咬まれたという表現を使っていま すが、狂犬病ウィルスは唾液中に高濃度に存 在しています。従って、咬まれた場合だけで なく、例えば傷口などを舐められた場合も感 染しますので注意して下さい。
(2)夜間においては、犬が活動的になることが一 般的です。犬に噛まれないためにも夜間に路 上を歩くことや自転車の走行などは控えるべ きです。勿論、昼間でも犬を見かけたらなる べく遠ざかって通行するべきです。

タイ国民は仏教徒が殆どな為、殺生を嫌い野良犬、野良猫狩などは殆ど行われません。
タイに来る方は気をつけてください。