「キレイにしておいで」
という私の言葉に、これまで見せたことのない顔で頷きお風呂へ向かったM。
彼は自ら「Mだ」と申告はしていたけれど、共通の友人もいることだし一歩違えば話のネタにされることが気がかりだった。
Mが出てきたから、私も入ることにした。
今思えばこれこそが失敗の元だった。
ベッドの上で所在なさげに正座をするMの腰にはタオルが巻かれていた。取るように促すと全く毛はなく、幼児の物そのものだった。
処理したことはわかった上で、
「どうして毛がないの?」
と聞くと
「これが普通だよ」
となんとも返答に困る言葉が帰ってきた。
可愛くないし、なにもする気になれない。
暫く体を眺めていると、Mが私の身体を触り出した。
経験のない者の偏見かもしれないけれど、許可なく触る様を見て、Mではないと判断した。
下手に嗜好をぶつけて引かれるリスクを取るならば、長年のセックスレスによる欲求を解消させることを選択した。
...選択したつもりだったけれど、触られるのも行為に及ぶのも不快だったから、取り敢えずMをいかせて終わることにした。
言葉遊びで、実は私はノーマルだし、Mもじゃないのかと問うと
「僕はMだよ!!」
と怒り、悔しさ、悲しみが複雑に入り乱れた声を荒げた。
こんな怒り方をするなんて、ますますMじゃないだろとボンヤリ考えていた。