生まれつき片耳が失聴覚の娘は
絶対音感をもっていました。

気の向くままにピアノで
好きなボカロを弾いていました。
曲名はわからないけど、きれいなメロディー。




実家に立ち寄ったとき、母から

あのピアノ叔母さんにいつ返すの?
契約書なんかないけど、借りたものじゃない。
もう弾くの(孫娘)はいないのだし。

そばで聞いていた父とふたり

は?

叔母たちの思い入れのあるピアノなのは知ってる。
でも、譲ってもらってて20年もの間借り物なんて、母以外誰も思っていない。

父が

あれはくれたものだ。それに今更返してもあの家に置けないだろう。

じゃあ買い取ってもらってお金を渡して…

40年も前のもの、二束三文にもならんわ。



いやいや、母どうしたの?
呆気にとられなんとか

3年待ってくれない?
3回忌まで(娘が)弾きに来るから

言葉を絞りだし、実家をあとに。
叔母から返してほしいとでも言われたのだろうか。
ピアノが要るならお金の話なんか関係ない。
気丈に見えても老齢だし
悲しんでくれてるし
今日のところは余計なこと考えずふたをしよう。




娘が大好きなアニメーション会社の方々に哀悼を捧げます。
YouTubeで流れてたきれいな曲、あなたなら弾けるもんね。
細長く伸ばした指で、ドヤ顔で。
ピアノと待ってるね。
聞かせてね。