新月

夕方から息子②がお熱。
自然療法でよく聞く、赤いほうの熱。
キャベツとお豆腐パスターで様子をみていたら、
息子①がママと一緒に寝たいんだと布団に入ってきた。

少しだけ話をしていると、眠くなってきた様子。 
ふと急にこんな話をし始めた。

「ねぇ、ママ。海のお水がさぁ、さぁーってきてさぁ、お家まで来ちゃったら、どうする?」
「ん?そうだねぇ。ちょっとびっくりするかな。」
「こわいかもよ。みんな海に連れてっちゃうんだよ。溺れちゃうんだ。」

息子に津波の話はしたことが無い。折をみて話そうとは思っていたけど、もう少し大きくなってからにしようと思っていた。

「たいせーは、海のお水が来るところを見たことがある?」

少しだけどきん、どきんとしていた。

「ある。お家も、犬も、いっぱいの人がおぼれたんだよ。たいせーもお水に入った。たいせーはママがいなくて泣いたんだよ。寂しかったんだよ。海の中で、魚にかじられたんだ。」

「それはいつ?夏?冬?」

「冬」

「そっか。寒かったね。寂しかったね。」

この辺りにくると、最初はしくしく泣いていた息子が、嗚咽になっていた。

「ママいないって思ってたんだ」

「そっか。もう大丈夫だよ。ママはどこにもいかないからね。ずっとたいせーの側にいるよ。」

「うん。うん。」

「もう、怖いの覚えていなくても大丈夫だよ。ママちゃんとたいせーの側にいるからね。」

一通り泣いたら、そのまま眠ってしまった。

もしかしたら、幼稚園で津波の話を聞いたのかもしれない。もしかしたら、誰かに津波の話を聞いたのかもしれない。

でも、もしかしたら、息子は生まれてくる前に津波にのまれたのかもしれない。

どちらであっても、今生きているこの世界で、平和で息子にとって安心して暮らせる生活を送るだけ、なんだけどね。

生まれてきた時の話、とかを聞いてもさっぱり覚えていなくて、毎日明るく元気に過ごしている息子が、急に話したちょっと怖くて、悲しいお話。