念願の川崎病専門医受診の日。


子供が水分しか摂らなくなって3日になる。
虚ろな表情で力なく、ずっと、「ママがいい」とうわ言みたいに言い続けている。

鑑別疾患の感染症検査を再検査の上、専門医先生曰く、

ニコニコ「川崎病診断基準の6項目うち、頚部リンパ節腫脹以外の5項目を満たしている」

と診断確定。
 

 
ええええもやもやそうかなあ
 
喉が赤いのも「唇が赤くなってイチゴ舌」に該当させちゃう?!もやもや
 
眼瞼結膜や手足だって、この程度で陽性にしちゃう?!もやもや




と、この違和感は最初からずっとあるんだけど。
川崎病をたくさん診察している先生が言うんだからそうなのかと納得する部分もあるし、
なにより、川崎病じゃない説を主張して治療の二の足を踏む意図は毛頭ない。
やらないで冠動脈瘤作ったら、子供に一生足枷引きずらせることになる。


専門医先生は、ニコニコ「このまま入院して午後にもグロブリン治療開始」と説明しながら、急な入院に私がついてきているか気遣いを見せたけれど、
 
いやむしろ、入院セットをトランクに積んで、手ぐすね引いて入院を待っているんです、こちらは!



 

入院待ちの数時間で、怒濤の検査回り。
3日間ご飯を食べられておらずふらふらな3歳児が、人生初の採血➡心電図➡レントゲン➡心エコーと訳も分からぬまま引っ張り回され、その辛さは推し測ってあまりあるものがある(泣)。


特に、採血と点滴ルートキープ。
他の検査は親が側にいてあげられるけれど、採血とルートキープは親の目の届かない所で、フィッシュネットみたいなものでがんじがらめに体を固定されて処置される。
 
初めての時、居たたまれない気持ちで処置室の前で待っていると、中から聞こえる声は泣いてはいるが思ったほどの大号泣ではない。観念しているのか、恐ろしさのあまり声を張り上げられないのか、それとも案外スムーズにルート確保できているのか。
 
「ママも一緒がいい」
と言っているのが聞こえる。

ママ「も」一緒がいい、ということは、自分が知らない人たちに取り押さえられて痛いことをされているというこの現状からは逃れられないんだということも、認識しているのだろう。
3歳なのに、初めての苦行なのに、なんてのみ込みがいいんだ!
 

病棟準備を待ちつつ、粛々と検査は進む。
心電図、胸部レントゲンは異常なし。
入院後に行った心エコーは鎮静剤(トリクロは吐きだしてしまい、坐薬)使用下にて施行し、冠動脈瘤なし。

冠動脈瘤が川崎病の鬼門なのでとりあえずホッとするが、冠動脈瘤の発生はD7~なので、この時点でないのは当然というか、まだまだ予断を許さない。
 
 
入院については2つの衝撃の真実が。
一つは、この病院は希望によって個室を選択肢することはできず、感染性疾患でない川崎病は大部屋に入れられるということ。
 
大部屋!
大部屋!!
大部屋だなんて!!!
 
ただでさえ親子とも、心身ともに、きつい入院治療を、大部屋で同室者に音の気兼ねをしながら、また周囲からの音に安静を邪魔されながら耐えないといけないなんて、絶望的な気持ちになった。
幸運なことに、入院当日からしばらくは同室者の入院がなく、個室状態ではあったのだけれど。
 
もうひとつの衝撃の真実は、頼りにしていた部長先生は外来オンリーで、病棟はまた別の医師たちによるチーム医療だということ。そして、現場の主力は、シニアレジデントの先生のようだ。
 
研修指定病院だから仕方がないけれど、やはり「川崎病ごとき」は、研修医の担当になるのだな。落胆はするが、その程度の病気ってこと!と気を取り直す。レジデント先生はひょろっと背が高く真面目そうな男性で、子供への話しかけ方なども好印象。いい先生っぽい。
 

入院時採血の結果を見てレジデント先生曰く、

ニコニコ「IVIG不応予測スコアにひっかかる重症例なので、ステロイドを併用します」
 
 
 
ガガーン
( TДT)
 
 
 
 
※不応予測スコアはこちら


 
 
子供の検査結果は↓
 
Na 130, AST 17, ALT 140, 好中球 83%, CRP 15.7, Plt 33万、T bil 0.4

つまり、群馬大・小林:7点、久留米大・江上:4点、大阪・佐野: 1点

佐野グループの指標以外では確かに不応予測スコアをオーバーする。しかし特異度の高い佐野のスコアで陰性であるし、ステロイドなんか使いたくないので、躊躇してしまう。
事前に勉強していてスコアリングは頭に入っていたので、
 
うう「でも、不応予測スコアで引っかからないようなスコアリングもあって、不応かどうかはグレーじゃないかと思うんです。ステロイド併用には抵抗があります。」
と、正直に打ち明けてみる。

ニコニコ「この病院が今、REISE studyに入っていて、そこで小林の指標を基に不応予測をすることになっている」

とのこと。
 
 
グロブリン治療が標準化されて川崎病全体の治療成績は良くなっているが、依然として重症例での予後が改善されておらず、重症例での冠動脈瘤発症を押さえられるかが今日のの課題となっている。
重症例での予後改善を期待して組まれたのが、このREISE studyなのだ。期待するしかない。
 
特異度の低い小林のスコアを使うのか、とそこはひっかかるが、もちろん感度特異度がすべてではなく、小林のスコアを採用したそれなりの理由があるのだろうと推測し、抑える。
→後日、このREISE studyが小林先生の研究であることが判明。小林スコアが選択されたのはそんな理由かと、気落ち。

ただ。
循環器内科発信の川崎病ガイドライン2014によれば、
「江上のスコア, 佐野のスコアに基づいたIVIG不応予測例に対するIVIG+IVMP初期併用療法は,IVIG単独投与例と比較して早期に解熱し,CAL合併率も有意に少ないと報告されている」
とある。
うちの場合は、小林だけでなく江上のスコアでもオーバーしているので、ステロイドの併用は大間違いということはなさそう。
←それはもちろんそうか。
 

 

 
怒濤の検査ラッシュの後、眠りに落ちた。
元々、ぐったりして抱けば眠るくらいの体調である上に、心エコーで使用した鎮静剤の効果もあったのだろう。


しかし、それも束の間。
 

15h20~グロブリン(日赤ポリグロビンN)開始。
同時に、アスピリン(/kg/日、分3)内服と水溶性ステロイド10mg(2mg/kg/日、分3)静脈注射が始まる。

グロブリンに対するアレルギー反応が起きるとしたら最初が要注意ということで、心電図モニターとサチュレーションモニターを取り付けられた上に、15分後と1時間後にBP測定もあり、眠りかけては起こされ、眠りかけては起こされの、拷問のような時間が始まる。

最初の1時間を乗り切った後も、頻回な血圧測定がなくなっただけで、モニターシールが寝返りで剥がれたり、点滴チューブにエアが入ってエラーになったり。
そのたびにピーピー警報が鳴って看護師が登場し、シーネを剥がしてルート挿入部位を確認されたり。とてもとても眠れる状況ではなく、寝入りはなの20~30分おきに起こされるというストレスフルな状況は24時間続いた。
必要な薬を確実に体内に送るためとはいえ、眠らせないというのは拷問としても使われる措置であり、治療を受けられて有難いことではあるけれど、残酷で、不憫。
 

治療開始から数時間ほどで、触れても熱感がなく、解熱傾向が見てとれるようになった。
期待以上の即効性に、思わず、
 
 
こんなに効くんだ!
 
 
 
と、声に出た程。
 
熱が下がって、本来なら元気になりそうだが、点滴やモニターのラインにつながれ、ピーピー警報などストレス負荷が大きくて、子供はずっと機嫌が悪い。

「おうちに帰りたい」「ベビーカーに乗って散歩に行きたい」「パン屋さんのしゅわしゅわのパンが食べたい」「パンが全部食べたい」と哀願したり、
「イヤだ、バカだ!バカだ!」と攻撃的になったり。


泣きどおし。
ストレスはとっくに限界を越えている。




21時 アスピリン内服前に35.8℃!と解熱。
=グロブリン開始から6時間経過。
再度発熱することもあるから予断を許さないが、期待以上の順調な経過にホッとしつつ、疲れきっている子供を眠らせてもらえない治療にストレスも感じながら、初日の夜は更けていった。