
学びながら呑みログ キンミヤ焼酎の件(後編)
宮崎本店の創業は1846年。当時はかすとり焼酎やみりんを作っていた。その後に地産のサツマイモで芋焼酎などの乙類焼酎、そして甲類焼酎、清酒を作る。
伊勢湾を臨む三重は、山々を超える関西より、太平洋の黒潮にのって関東への海洋輸送のほうが早くて、安かった。宮崎本店の商圏も、ほとんどが関東だったという。
関東を商圏とする宮崎本店。だが、清酒「宮の雪」は関西で有名だ。なぜか。
「宮の雪」は1951年発売。宮崎本店は、実は酵母培養技術も有名だ。その技術力で作った「宮の雪」と営業力で、つぎは商圏を関西に広げる。多数受賞歴もあり、安い、そして旨い「宮の雪」は関西の大衆酒場で愛される酒となる。
「宮の雪」は合成清酒から清酒まで。清酒も大吟醸酒、純米酒、普通酒と安価から高価まである。懐にあった「宮の雪」を呑む。そのへんが愛されている理由だ。
現在、宮崎本店は、甲類焼酎「亀甲宮焼酎」、清酒「宮の雪」以外に、乙類焼酎で、麦焼酎「亀甲宮」、「久寿」、「麦の一滴」、米焼酎「時乃刻印」、めずらしいゴボウ焼酎「白髭」、ホワイトリカー「ホワイトパンチ」、本みりん「亀甲宮」、ウイスキー「サンピースウイスキー」がある。総合酒類の酒蔵だ。
オススメは「亀甲宮バラエティセット」で、甲類焼酎、乙類焼酎、本みりんの「金宮」セット。そして「シャリキンパウチ」。かんたんにシャリキン(凍った金宮)を作れる。そして「金宮」の徳用の「好きやねん」。セカンドブランドでも内容は同じ「亀甲宮焼酎」だ。
「金宮」「好きやねん」にはアルコール20度と25度の2種がある。他のメーカーの焼酎も同じ。地方、地域によって高め、低めの好みがあるらしい。基本は25度で、高すぎるということで、20度を作った。どちらも水を加えて整えてるので、度数の違いだけ。価格はちょっと違う。関東では25度が主流。同じ蒸留酒のウイスキーも40度と43度の2種がある。ちなみに「シャリキンパウチ」はシャリキンの研究結果で20度のみとなったらしい。
「金宮」の湯割りも勧める。まず温めたグラスに、温めた軟水を入れる。少しずつ「金宮」を注ぐ。乙類焼酎もそうだが、焼酎は後から入れたほうが旨い。ぜひ。
かすとり焼酎:日本酒の酒粕で作った焼酎。「粕取り」が語源。ちょっとクセがある。戦後の「カストリ焼酎」は酒粕、もしくはなにかのカスで作った粗悪な密造焼酎。まったく違うので。
三倍増醸清酒:戦後の米不足から、醸造アルコールや色々なものを混ぜて薄めて作った日本酒。醸造アルコールといっても原料はわからない。3倍くらいになるのでこう呼ぶ。