外来の人がほとんどいない、静まり帰ったフロアで、小さな受付窓口の奥に垣間見える手術台っぽい何か。
受付内には事務服のお姉さんではなくて、えんじ色のパンツスタイル作業着のナースが多数。全員頭にはヘアキャップ。
一気に緊張感が高まる。
頭の中が怖い、という感情でいっぱいになり、見ないように、考えないように、と避けてのほほんと過ごしている日常生活とのギャップに一瞬押しつぶされそうになる。
同じ待合室にいるのは親しい誰かの手術が終了するのを待つ人たち。
もうすぐ母がここでの待ち人になるのか。申し訳ない。
厳粛でやや重苦しい空気に、もうすぐ私にもその日が来るんだなぁ、と現実を突きつけられる。
本当の戦いは手術の後だよ、と言われており
頭ではわかっているし覚悟をしている、気がするけれど、やっぱり覚悟は全然できていないのかもしれない。
それ以前に人生初の入院&手術、自分の胸がなくなる、という大きな壁が私に向かって大きくのしかかってくる。
ああ、目が覚めて、「おはよう、それは全部夢だよ」、って誰か言ってくれないかな。