ガリー・ネヴィルに続きポール・スコールズが現役に別れを告げた。
守護神ファン・デル・サールの勇退ももちろん大きなトピックだが、
ユナイテッドファンに与えた衝撃の大きさでは、スコールズに軍配が上がるだろう。
一時代の終了。リーグ連覇に加え、来シーズンこそ“トレブル”を再現したいファーガソン監督は、
夏に「3選手を獲得する」と宣言している。
対象となるポジションはウイング、セントラルMF、GKと予想されるが、
これにはサイドアタックの強化や中盤のパサー不足の改善といった具体的な理由だけでなく、
大ベテランの領域に入ったギグス、そして現役を引退したスコールズ、
ファン・デル・サールの後継者探しという意味合いが強い。
もともと、中盤の現有戦力には“働き者”のタイプが多く、
キャリアの終盤でプレーメーカーへと転身を遂げたスコールズ引退の余波を鑑みれば、
視野が広くパスセンスに長けた司令塔を確保したいのがファーガソンの本音で、
そのファーガソンがクラブに獲得資金の工面を命じたとされるターゲットがスナイデル。
引き抜きには膨大な移籍金と労力が掛かるものの、
タイプ、実力、年齢ともに条件を満たすベストな選択であることは間違いない。
次善の候補はトッテナムのモドリッチとなるが、このミッションも難易度は高く、
レンタル帰りのクレヴァリーやギブソンの成長に期待する必要もあるだろう。
一方、急務の課題だったファン・デル・サールの後任探しについては、
アトレティコ・マドリードのデ・ヘア獲得が合意間近とも報じられている。
一時はシャルケのノイアーやリヴァプールのレイナを強奪するプランも浮上していたが、
新守護神は20歳のスペイン代表GKで落ち着きそうな気配だ。
そして、ウイング。つまりはギグスの後継者問題だが、
理想はバレンシアやパク・チソンと同等の働きが計算でき、
将来的にもナニと両翼を担える人材で、サポーターからの期待を踏まえれば、
代表クラスの国産タレントがベストの人材と言える。
さらに言えば、ユナイテッドは“ファーガソン後”の世界を見据える必要もある。
70歳を目前にしてもファーガソンの意欲に衰えは見られないが、
来るべき時を見据え、最低限の準備は進めておくべきだ。
後任がいきなりファーガソン並の仕事をこなすことはさすがに困難。
来シーズンからコーチとしてユナイテッドに残るスコールズだけでなく、
ギグスとも今のうちから将来的なスタッフ入りの話を具体的に詰めておくなど、
一流の仕事ができる指揮官のサポート体制の準備を着々と進めるべきかもしれない。