私が大学に合格した時、進学先の大学から「奨学金一覧」が送られてきました。

はるか昔ですが、ちょうどこのくらいの時期だったでしょうか。


給付型のものもたくさんあり、別に学内選考に落ちたからと言って損はしないので、母に「私も給付型の奨学金選考に申し込もうかな」と持ちかけました。


家計の助けにもなるだろうしと思ってそう言ったのですが、母は「うちはあなたの進学費用は用意できているので申し込まなくて良い。あなたが申し込むことで、本当に進学が困難な人に奨学金が届かなくなる可能性があるから、申し込むのはやめて欲しい」と言って反対しました。


母は、そう言う人でした。

もともと裕福な家庭で育ったのですが、母が学生時代に父親(私の祖父)が亡くなり、母子家庭になりました。

五人兄弟で、四人は女の子。男子は母の弟一人だけ。


結局、五人の中でその弟だけが大学に進学しました。今から60年近く前の話になります。女性の大学進学は少なかった時代、そうするしかなかったのでしょう。


でも母は、大学に行きたかったそうなんです。

私が社会人になってから、母は通信制の大学に進学し、卒業しました。

心の中で「お金があれば、進学できた」と言う気持ちはあったのかもしれません。


だから母の「本当に奨学金が必要な人に届かなくなる」と言うのは、もしかしたら、進学を諦めなければならなかった過去の自分自身を思っての言葉かもしれません。


私も、三人の子供たちにきちんと学費を用意したいです。

夫がギャンブルに使ってしまった部分もたくさんありますが、払い済みの学資保険が手付かずで残っていて良かったです。

そして、今からまた毎日コツコツ。