入院初日に針生検をして、通常なら1泊のみのところ、コロナの影響でずっと入院することになった。
それから検査結果が出るまで、ただひたすら待つだけの入院生活が始まった。
これが地獄だった。
もし腫瘍が悪性だったら……という不安を抱えたまま退屈な日々を過ごすだけ。
看護師や医師の方々は本当に優しくて、今振り返ると感謝の気持ちでいっぱいだ。
でも、当時の私にとってはそう思うだけの余裕がなかった。
人によって違うかもしれないが、私は本当に絶望しているとき、根拠のない励ましというのは、癪に障るし、うんざりすると気付いた。
結果的に悪性ではないと結論が出たから、それらの励ましは好意的に思い出すことができる。
しかし悪性だったならどう思っていたか。 「嘘じゃないか」と怒っていたかのかな、とか考えてしまう。
結局のところ、正解なんてないのかもしれない。
最初は検査結果が出るのに1週間~2週間ぐらいかかる、と言われていた。
ネットで調べると、細胞の遺伝子を調べるのに時間がかかるらしい。
ただ、針生検をした当日にある程度分かることもある。
たしか、細胞の形で分かるとか。 悪性の細胞は形が歪な場合があり、それをまずは確認するらしい。
そして実際に結果が出たのは生検から17日後くらいだったと思う。
どうも検査は難航していたらしく、全国の専門家に標本を渡して相談し合っていたそう。
後から聞いた話だが、骨腫瘍の分野は症例や専門家が少なく、判定が非常に難しいらしい。
しかも骨腫瘍の種類は非常に多く、専門家の意見はかなり分かれていたと聞いた。
結局、悪性の可能性は除外されたことを伝えられ、3日後(だったかな?)に手術が決まった。
実をいうとまだ病名は確定していなかったのだが、治療方法に大きな違いはないから問題ないと言われた。
……え、少しは違うの? 本当に大丈夫か?
と思ったが、悪性じゃないと言われたしどうでもいいや、という感じだった。
この時点では候補となっている病気の名前は聞かなかった。
たぶん専門家にとっては大事な話だが、素人にとっては同じ骨腫瘍って感じなんだと思う。
全身麻酔も手術も人生初だったが、不思議と全く怖くはなかった。 緊張はしたが。
検査結果に関係なく手術自体は必要になると、かなり前から覚悟していたのが大きいと思う。
それと当然、悪性じゃなかったことも精神的に救いだった。
まあ手術で腫瘍を取った後、その腫瘍から悪性細胞が見つかったら事態は逆転するわけだが。
そういった話は次回にしようと思う。
次回は手術から退院までの予定。