初めて働いたお店は、その後の私の人生を変えた。
私は性の知識がまるでなかった。
雑誌やビデオを観て試したことはあるけど、それが快楽に繋がることはなかった。
なにもかもが初めてで。
言葉の意味もわからない私を店長は大事に扱ってくれた。
大事にって言うのは人としても、
商品としてもって意味。
売り出すからには最上級で売り出したい。
思い返せばそんな優しさがあった。
何時間も講習をした。
1日ごとにプレイを覚える。
服の脱ぎ方、体の洗い方、体の拭き方。
距離感、態度。
舌の使い方から、体の向き、目線。
男はこういうのが嬉しいんだよと。
ささいなことまで。
それが極自然に。
まるで元から出来ていたかのように。
サービスではないように。
私の体に染み込んでいく。
何度も店長は私の体でやってみせてくれた。
それは初めての感覚で。
私は素直に快感に震えた。
いい加減なお店は流れ作業や自分の趣味で講習をするところもある。
でも私が受けたものは違った。
丁寧に時間も思いもかけられたからこそ、
引退までやり抜くことが出来たのだと思う。
いつも男性に教えられた。
自分のどこに喜びがあるのか。
相手はどこに喜びを感じるのか。
静かに丁寧に。
沢山の価値観は、沢山の愛の形だった。
そしてそれを大事にすることは、その人自身を大事にすること。
だから、私は傷つかなかったのだと思う。
いつも愛に触れていたから。