「べき」というのは、難しいですね。

なにが正しいのか。

押しつけになっちゃいかんし。

 

自分「だけ」が正しいと思うのは、よくない。

ほかのひとからみたら「正しい」と思うことはべつな場合も。

 

でも、自分が「正しい」と思うことをしっかりみきわめたうえでやらないと、それはそれで、仕事はだめになるように思う。

 

ネギ問題。

 

とある納品先から頼まれた。

お正月特売用に、ネギを大量に納品してほしいと。

 

納期

価格

品質

 

ひどい条件。

要は、めちゃくちゃ安く買いたたくのに、品質はあまりおとさず、超短納期。

 

 

 

通常お正月は休みです。

出荷するなら、この時期は高くうれます。

 

やるなら高値で売りたいが、それよりもお正月くらい皆を休ませたい。

正月明けの3連休、まだほかの農家がエンジンかけるまえなら競合が少ないので、

いくらでも売り上げるタイミングはある。

 

が。

 

年末に●●してあげたんだから、このくらいきいてよ。

おれの頼みがきけないの?

この一回だけだからさあああーーーーーー。

 

名のある会社の青果トップまで登った人のいうセリフじゃないと思う。

 

印刷や広告代理店につとめていたとき、こういうこというひと、いました。

無理難題をいって相手にいうことを聞かせることで「仕事をした」とマウントとるような?

 

仕事は、どの向きにお金がながれていても、パートナーのはず。

むしろ、お金をはらう「客」立場のほうが、したを「かばう」「まもる」姿勢があってこそ、

したも無理やきついハードルを「一緒に」こえてくれるもの。

 

印刷営業をやって3年目くらい、ある程度仕事ができていきがっていたわたしに、

上司がおしえてくれたことです。

下請けがミスしたとしても、場合によっては全額弁償でなく、一部ふたんすること。

資金力がすくない下請けに、無理をさせつづけることは、発注側がやることではないと。

 

はったりやおどしのような文句で「いうことをきかせる」タイプの人、個人的スキルがどれだけあろうと、おちます。

ある程度は発展しますが、気が付いた時には優秀なスタッフと外注先がいなくなっている。

結局、個人プレーでうごける範囲にぎゃくもどりなんです。

 

 

電気もガソリンも食品もどんどん高くなる。

最低賃金もあがる。

なのに、なぜ青果だけが無理な値段を維持しなくてはならないのでしょうか?

もしお店がどうしてもお客様に特売でサービスしたいなら、仕入れよりも安い値段でうる、

自分の身を削るサービスをすればいいけど、下請けに無理をおしつけるのはどうなん?????

 

個人農家で家のすぐちかくに畑があれば、正月に働いて激安で出荷してもいいかもとおもうひともいるのかな。

 

でも、法人では前々から計画して段どりしているなら別ですが、

正月にスタッフを急に出勤させることも難しいし、あんな安値でだすなら、生産するだけ赤字。

相場が大崩れで安売りでも売りたいなら別ですが、ほっといても高値で売れるタイミングに、なにゆえの赤字価格?

 

仕入れて売る方は「もうけなしなんだ」というけど、売価よりは安値で仕入れてるんだし、

それだけの低価格なら売れ残らないだろうし、すくなくとも赤字にはならない。

下請けが赤字だろうが、関係ない、という姿勢がおそろしいと思いました。

 

それも、大晦日に連絡してくるなんて。

 

どうにか数量を減らしてもらいましたが、ほんとうに、こういうひととは付き合えないなあと思いました。

 

無理して安い物を用意するということは、品質がさがるということです。

 

つくる方が品質をさげればいいように見えるかもしれませんけど、

そうすると「野菜は美味しくないもの」「そのうち安売りするから高い時期はかわない」など、

青果の評価がさがり、低価格にくるしむ農家のなやみに、拍車をかけるだけです。

そういう発注を、断るのが自分の仕事なのかなあと、年始からもやもや。

お正月にせっかく出勤してそれだけ大量のネギを用意するなら、

1.5倍くらいの価格でうれるところは、いくらでもあるのになあ。

 

安いからといって、歴然とわるいものを納品しては、今後の農家評価にとってもよくないので、

ある程度のクオリティは保つように動きますが、おそらく発注した側は、

こちらの苦しみは理解してない。

 

長年つきあってきて、頼みもこまかくきいてあげた結果これかあ、、、、、と、

お店のひとを信頼できない、というのはなかなかしんどいかも。

 

うちの農場として「なにをするべきか」という選択を、

もっと考えながら動かないといけないなあと思いました。