珍しいことに、先日ハイキングに行ってきました。

建築家 モグモグ日記


何回となく、NGOでボランティアをしてくれるFさんが、山歩きを企画してくれたのですが、

この数年、ぎっしりと仕事のスケジュールが詰まっている感じがあり、

ホットする時間をもつことができないままでした。
行ったのは、奥多摩の御岳山と吉野梅園。

たかだか2時間ぐらいのハイキングですが、長く歩くことがほとんどない足が堪えられるのか、

かなり不安な思いで参加しました。

ところが結構快調。グループの先頭を切って、早足で進み、無事に麓まで戻ることができました。

なんと青梅からも、かすかにスカイツリーが見えました!

写真は、吉野梅園の前の丘で花開いていた梅です。
しだれ梅?というのか、良いですね。とてもシャープ。

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梅は、大げさな言い方だと「咲く意思をもっている」気がして、桜より好きです。



先日、授業は未だですが、私が講師をしている女子大学に寄ってきました。
昨年度、授業を選択した学生たちが、「私たちは忘れない」東北支援プロジェクトとして、

東日本大震災をテーマに学内イベントを企画し、設営を確認に行ったのです。
http://tunagaru-wa.jimdo.com/ 活動/これから/東北応援プロジェクト/


大学は、校門から校舎までが桜並木となっており、なかなかの雰囲気です。

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学生がいないことで、大変静かで、桜のひそやかな葉ずれだけが伝わってくるような一瞬でした。

今週から授業が始まりますが、たくさんの一年生が、この花開いた桜のアーチの下で、

新しい生活に期待と不安のこころで、登校するのでしょうね。


建築家 モグモグ日記


その後の葉さくら。これも美しい。雨に濡れた4月の葉さくらは、満開の時期より趣があります。


先日、建築家が集まっている席で、川上元美さんの展示会がとてもいい!と話したら、川上さん?と冷めた反応。

私は少々ビックリ。
建築家とインテリアデザイナーの距離がやはり大分あるのか、それとも、私の親近感が特別なのか分かりませんが、9月25日まで新宿のOZONE3階で開かれている、「川上元美 デザインの軌跡」は、なかなか素晴らしく満足感が高いものです。
http://www.ozone.co.jp/event_seminar/event/detail/1153.html


残念ながら写真撮影ができなかったので、画像で見ていただくことはできません。
展示の構成はもう少しという気もしますが、川上さんの45年の作品がまとまってみられる喜びは、

なによりでした。またかなりの椅子は実際に腰を下ろせます。


おまけに、たまたま2回行った会場で、2回とも川上さんとお目にかかることができ、一度はしばらくお話しをさせていただきました。まるでミーハーですが、イヤーうれしかった!という感じです。(藝大出というと、なかなか話しがしにくいという偏見が身についているのですが、腰が低く普通にお話しなさるので、そのことにもビックリしました。建築科出と大分違う!? 諸先輩失礼!)


彼の作品の魅力は、その禁欲的?で上質な繊細さ。全ての作品で彼らしい(日本的な)線が美しく定められているというのは、本当に魅力的です。川上さんが師事したマンジャロッティの強さと繊細さが同居した世界から、強さを少し軽くした感があるでしょうか。


私が独立して直ぐの仕事だったか、食堂椅子を探し、直ぐに魅せられたのがアルフレックスジャパンのNT。http://product.arflex.co.jp/archives/nt.html?cat=chair  革のメッシュのシート、背。少々ゆったりと大きく、若干の鈍さも感じましたが、当時の椅子の中では、そのセンスが際立っていました。(その頃既に、ウエグナーのYチェアーが主流だったと思いますが、どうも食堂椅子としては気が乗りません。)
その数年して、確かAXISにあったBUSHIから出た、紫とグレーに漆で塗られた飾り棚のシャープな美しさは、「本物」に近づいたものとして、記憶に残りました。残念ながら、高すぎて使うことはありませんでしたが。(BUSHIはサイトに載っていませんね。
ついでに、私の漆の食器もAXISでも売っていました。)


彼の作品を見ていると、だんだんと繊細さが強くなっていることを感じます。アルフレックスでその後出したNT SLIM http://product.arflex.co.jp/archives/nt_slim.html?cat=chair はもちろん、NOVIA、TINAなど、存在を軽くする方にデザインが向かっています。それがデザインの日本的な味をより強くしているのでしょう。


今回の展示で、いくつもの椅子に腰を下ろし、これは使えそうと思ったのは、飛騨木工の小椅子。少しタイトなものの、長く腰をおろしていて疲れない。今度もう一度試してみて、使ってみたいと思いました。

この展示会、見るといいですよ。なんだか来場者が少ないようで、残念に思いました。


http://noguchi-architects.com



先週の月曜日、五嶋みどりさんが中心なって活動しているICEP http://www.musicsharing.jp/activity/icep/icep2010.html の2010ラオスツアーの報告会がありました。
場所は銀座の王子ホール。
このツアーはミュージック・シェアリングhttp://www.musicsharing.jp/ というNGOが、アジアの子どもたちに「本物の音楽」を伝えたいという主旨で毎年開催しています。参加者は、五嶋みどりさんを中心に、公募された若手の音楽家たち。

このラオスツアーに、私が事務局長をしているラオスのこどもが、ラオス情報のレクチャーからツアー手配まで、さまざまなお手伝いをしたのです。
ツアーは昨年末、10日間ほどにわたりおこなわれました。
しかし、準備は半年以上前から、担当のスタッフの方と本当に細部にわたる打合せ、詰めがおこなわれました。
ラオスでは、いくら事前に細かいことを詰めておいても、その通りにならないことを嫌というほど経験している我々は(実際ハプニングは沢山あったようです)、もう少しラフな組み方の方がいいのでは?とアドバイスしたのですが、音楽の組み立てと同じで、極めて綿密なつくりのツアーとなりました。
それはともかく、ツアーのメンバー4名の発する「本物の音楽」に、ラオスの子どもたちはもちろん、うちのスタッフも、本当に心から楽しんだようで、とても貴重な機会でした。


ラオスにももちろん音楽はあります。民族音楽は盛んですし、若い人たちは歌謡曲も大好きです。しかし、いわゆるクラッシック音楽は、ほとんど聴くことがありません。まして子どもたちは、バイオリンやチェロなどの楽器を見ることも初めて、実際に触らせてもらい、音を出させてもらう体験は二度と無い体験でしょう。
クラッシック体験の無いラオスの子どもたちは、五嶋さんたちの奏でる「音」に、なんの構えもなく、とても率直に、身体を動かし、ひそひそと隣の子どもと囁きあい、声を出して笑っていたとのこと。理屈抜きで楽しかったようです。
日本でも、このように率直に心を開けてクラッシックを聴く機会があれば、もっと音楽好きの子どもたちが育つでしょうに。
残念ながら、そのツアーの画像は、肖像権?からここに載せられません。以下のスタッフブログなどを参照して下さい。
http://deknoylao.cocolog-nifty.com/blog/2010/12/index.html
http://deknoylao.cocolog-nifty.com/blog/2011/01/post-0410.html
http://www.47news.jp/culture/midori/diary/2011/06/icep_1.html

一つ感じたこと。五嶋さんたちは、みなさんの音楽を子どもたちに伝えられましたが、ラオスの子どもたちの音楽を、ツアーのみなさんにもっと、聞く機会を持って欲しかったですね。

ラオスだけにある文化を感じ取れたかも知れません。

八ヶ岳高原音楽堂の展示会が、目白の吉村順三記念ギャラリーhttp://www.sepia.dti.ne.jp/jymg/

で6月12日まで、開かれています。


建築家 モグモグ日記-八ヶ岳音楽堂1 建築家 モグモグ日記-八ヶ岳音楽堂2


この音楽堂は私が吉村事務所を辞めたあとの作品で、設計や工事の過程は知りません。

しかし、10年以上前ですか、教えている日本デザイナー学院の学生引率で、数回訪れたことがあります。

その時は、イタリアの建築家マリオ・ベリーニが設計した小淵沢のリゾナーレを訪れたあと、

音楽堂に廻りました。リゾナーレがヨーロッパの建築家らしく、閉鎖された空間構成で、

重く自然に対峙するコンセプトに対し、音楽堂は全く違う自然と行き交うコンセプトで出来ていることに、

今さらながら驚きました。


 アプローチをほんの少し登ったところに入口があるのですが、その上りで歩を進めるに従い、

青い空をくっきり切り取る屋根の直線が現れ、建物の全容が見えてくる設定は、なかなかのものです。

さらに建物の奥に広がる八ヶ岳の山々。建物が小山?に囲まれ、地にへばりつき、自然のなかに

完全に溶け込みながらも、強く持つピーンとした静謐な気配は、吉村事務所の他のものには感じ

させないものです。もちろん高原の空気のせいもあるでしょうが、強い緊張感を持っています。

 敷地の端に撮影用に用いたか、鉄パイプで出来た櫓があり、そこから俯瞰する屋根はとても

美しく印象的でした。同行した学生が、普段の彼らと違い、シーンとして見学していたことも思い

出します。(普段自由奔放だった学生の1人が、リヒテルが使うピアノで、ラフマニノフかを突然

弾き出し、そのうまさに驚いたこともありました)


 内部空間は、ホアイエの天井の処理やホールの吊り金物のやかましさなど、

気になる部分はありますが、ステージの後ろに広がる景色とホールのスケール感はまとまりが良く、

大変優れた設計で感動しました。ワクワクするような高揚した感覚を持ったことを覚えています。

 今回、吉村順三ギャラリーでは、この音楽堂の1/50骨格模型が展示されています。

木製のこの精密な模型は、現場を担当した大工さんが、工事に先立ち、全容を把握するために、

自分で作ったとのこと。そこまで努力する大工さんに恵まれたことは、設計者にとって、

とても恵まれたことだったでしょう。


 この企画を進めるなか、驚いたことに事務所OBのなかで、この音楽堂に対する評価で

バラツキがありました。先生の晩年の仕事だということもあり、

先生の思いが充分には反映していないのではないかという指摘です。

つまり「吉村作品らしからぬ甘さがある」というのです。大変厳しい指摘ですが、確かに、

もっと空間要素を整理すれば、また、化粧室まわりの処理でもう少しの気遣いがあれば、

より素晴らしかっただろうということは、納得が出来ます。

この指摘を聞きながら、ものづくりは何と難しいことなのかと、改めて思わされました。

こんな素晴らしい空間でも、まだまだ完璧ではないということです。


 みなさんも、実際をご覧になると良いかと思います。昨今は自由に見学できなくなっているようですが、

ギャラリーでは7月11日に現地見学会を計画しています。ご関心がある方は、ギャラリーで申込が出来ます。


                                               http://noguchi-architects.com



いつかこのブログでも書いた気がするのですが、日本は明るすぎる国の一つでしょう。
地下鉄の駅でも、コンビニエンスストアでも、街でも。
今回の大震災で、電力が足りなくなり、急に東京の街が暗くなりましたけど、みなさんどう感じました?それほど違和感を持たなかったのでは?


昔ストックフォルムの地下鉄駅だったか、これは暗すぎる、よく犯罪が起きないなと思ったことがありました。暗くなった東京の街は、それに比較しても2~3倍は明るく、何の問題も感じません。暗い新宿駅のコンコースを通りながら、なんとなく化粧がはげたようでうらぶれ感はありましたが、これが普通で、充分ではないでしょうか。


建築家 モグモグ日記

画像は、今年1月のミラノの地下鉄の駅です。カメラは明るさを調整しますので、伝わりににくいのですが、大分暗い感じでした。しかし気になるものではありません。要は明るさというのは慣れによるのではないかと思っています。
建築家 モグモグ日記

次の画像は、フィレンツェのホテルの客室。クラッシックなホテルということもあるのでしょうが、この部屋は、落ち着きがあるといういい方も出来ますが、文字を読もうとするとランプの下に行かないと、なかなか困難でした。


住宅の設計で、いちばん、気になることの一つに、部屋の明るさをどう設定するかがあります。これは、人によって「当たり前」が全く違うからです。
「私は暗い部屋が好きです」というので、明るさを抑え気味に設計したところ、これでは「暗すぎる」とお叱りを受けたこともあり、逆に明るめに設定したところ、「明るすぎる」とクレームが付いたこともあります。
一般的に明るさは、事前に数値で示しても実感は出来ませんので、どうしても、クレームを恐れ、灯具を多めにつける傾向となり、空間がやかましくなってしまいます。
これはイカンと反省はしているのですが、適切なレベルの接点を計画段階では作りにくく、頭を痛めています。

わが家の梅の花が満開です。


家の近くには池上梅園という、昔、伊東深水(といってもほとんど今の人には分からないかもしれませんが、朝丘雪路さんのお父上)の画室であったとという公園がありますが、そこも先日までたくさんの観梅に大勢の方がいらしていたようです。
斜面一面の紅梅、白梅の競演はなかなかの見物です。


うちにも、何本かの梅の木があります。
白い寒梅は、老木で枝がかなり傷んでおり、「今年は大丈夫かなと?」と毎年心配しますが、今年も何とか、くれから正月にかけ、密やかに花を咲かせてくれました。
今、目を楽しませてくれているのは、もう少し大きな木です。


建築家 モグモグ日記-koubai 建築家 モグモグ日記-hakubai


父が元気の頃は、いつも暇を見つけては木に登り、手入れをしていたのですが、私の代になってからは、「暇がとれない」という言い訳で、とりわけこのところ、手を入れるどころか、眺めてやることも充分に出来ないままとなってしまい、申し訳ない限りです。

来月の下旬には桜の季節となりますが、私は、桜より梅の花の方が好きです。
色のメリハリがはっきりしているからでしょう、桜はどうも水っぽい。

この画像のように、青空とのコントラストがはっきりしている時は、本当に梅の厳しい「意思」を感じるというか、りりしさを感じるというか、凛とした強さを感じさせます。

今年は、わが家の耐震化工事を計画していることもあり、庭の木も大分切らなければいけないかも知れません。
なんとか、この梅の老木は残したいところです。

カルフォルニア州のシュワルツネッガー知事が、中国、日本、韓国と駆け足でまわり、

高速鉄道の視察をしたというニュースが先日目に留まりました。
日本には世界に誇る新幹線があるということで、日本でも大臣が先頭に立って、

売り込みを図っているというのです。

私は、地方の仕事でも最近は車で行くことが多く、あまり新幹線を利用しないので、

新幹線のことを知っているとは言いいませんが、安全運行とか、定時発着とかソフトのことはともかっく、

車両デザインについては、あまり感心しません。


朝日が射す新幹線はまだしも、夜の9時頃に東京に着く新幹線の重く、

疲れ果てた車内の空気がどうしても好きになれないし、それを余計重たく陰鬱なものとしているのが、

なんともポリシーがないインテリアデザインと思え、嬉しくないのです。

車両をデザインした人は、お客がどんな気持ちで、新幹線に乗っている時間を過ごして欲しいと考えたのでしょうか?


10日ほど前、バンコックでエアーポートリンクという高速鉄道に乗りました。

スワンナプーム国際空港から市内を結ぶ開通したばかりの高架鉄道で、市内まで30分程度で行けるようになり、大変便利です。

初めて乗ったその車両、なかなかか素敵でした。

インテリアはベージュのトーンでまとめられ、つり革と支柱が黄色くペイントされアクセントになっている以外、

網棚も吊り広告もなく、大変すっきりしています。

どこの車両だろうかと見ると、壁にSIEMENSとサインがあります。ドイツの技術なのでしょう。


建築家 モグモグ日記-バンコック高速鉄道 建築家 モグモグ日記-成田アクセス


そして次の朝、成田から帰るために乗った京成電車成田アクセス、といっても特急料金を払わない方ですが、

この写真のよう。なんともゴテゴテ、それこそデザインの意識など何もない車両です。

しいて言えば担当者は、座席シートはデザインしたものを選んだつもり?

いかに安く作るかは気にしても、利用する客の気持ちなど、考える習慣、システムが、

車両メーカーには無いのかも知れませんね。 写真右


数年前スエーデンのストックフォルムでのった地下鉄を思い出しました。

車両のジョイント部分、とてもきれいに納まっています。

これですとつまずくこともなく、バリアフリー度が高いですね。

連結部分のごみごみした印象もなく、空間も連続し、明るさに好感を持ちます。

これはバンコックの車両も同じですが、シートが壁からの持ち出しとなっており、

床の掃除がしやすいことは、とても大切です。

建築家 モグモグ日記-ストックフォルム地下鉄連結部


同じくロンドンの地下鉄。

これは狭いので余計そう見えるのかも知れませんが、なんとなく活気がある。

ここは、壁の広告はありました。この違いは、どうしてでしょう?


建築家 モグモグ日記-ロンドンジュビリーライン

なにも世界中、同じ顔のデザインとなればいいなどとは思っていないのですが、

利用者の心地よさまで配慮がない、このデザイン水準で、日本は車両を輸出出来るのでしょうかね?

少々心配です。


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現在目白の吉村順三記念ギャラリー http://www.sepia.dti.ne.jp/jymg/
小さな建築展第23回として展示しているのは、「井の頭の家」です。
9月11日(土)より10月17日(日)までの各土曜日・日曜日。13時~18時まで開いています。 


夏の暑い日差しの中、ギャラリーの委員の特権で、この井の頭の家を見学に行ってきました。
プランや写真は、もちろん以前から見て知っていたのですが、実際におじゃましたのは初めて。

井の頭駅からしばらく歩いた閑静な住宅地に、この家はありました。
私の頭には、増築以前のオリジナルプランがあったので、最初見た時に、あれ?大きくなっている!と

いささか驚きました。
5年ほど前に増築をしたということです。


やはりこの家の特徴は、大変コンパクトなプランに開けられた、1.8m×2.7mという、

少々小さい吹き抜けでしょう。
図面で見た時には、大分狭いなという思いを持っていたのですが、現場で見ると、

上手く空間を拡げる役になっていることを実感しました。ちょうど北側に廻り階段があり、

その空間と吹き抜けがつながり、2階の廊下がブリッジのように感じられるのです。
一階でも、二階でも住まい手の気配を感じることができる、とても心地よい空間でした。
もちろん、南の太陽や空気の動きを伝える役割も担っています。


建築家 モグモグ日記 建築家 モグモグ日記


この廻り階段。図面では玄関から入った時に、頭にかぶさるように読め、苦しいのではないかと疑っていたのですが、

全くそのようには感じられません。

1.8m角の空間に鉄骨の階段がキレイに収まっていました。この辺りの造りはさすが!というところでしょうか。
この井の頭の家の後に作られた、田園調布の家でも、廻り階段がギリギリ寸法で、とても上手く収まっていたことを

思い出しました。


一つだけ気になったのは、様々な条件から決まったのでしょうが、ちょっと天井が低い。

吉村先生は天井が高いことを比較的好まなかった思いがありますが、でももう5㎝10㎝高いと

大分違った空間となっていたなあと思いました。


吉村順三記念ギャラリー では、10月16日土曜日午后4時から、ギャラリートークとして、

担当者が設計時の思い出を語らう時間を設けています。

私が司会をしますので、ご関心がある方は、ぜひともご参加下さい。

この小住宅で吉村先生が何をこだわったかなど、担当者から直に聞けると思います。


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もう外務大臣ではなくなってしまったのですが(この文、書こう書こうと思っている間にああ外務大臣降板!)、7月の末、外務省から岡田外務大臣が訪ラオするにあたり、うちのラオス事務所(ラオスのこども)を訪問したいという連絡がありました。


NGOの活動を知ってもらう良いチャンスとばかり、駐在員とともに張り切り迎える準備をおこなっていたところ、大使館から、数台の車で訪問するので、駐車スペースがある場所にしたいという連絡。
事務所(厳密に言うと事務所8月末に郊外に移転した)はヴィエンチャンの市内から空港に行く大通りに面しており、そんなに大所帯の車を止められないため、事務所をあきらめ、駐車ができるヴィエンチャン都子ども文化センターCECで活動を説明させていただくことになりました。


このセンターは私が基本設計をし、5~6年ほど前に出来た図書館を持つ児童館のような施設です。
写真で判るように、1階は観客席?をもつ吹抜のホール。そこに入る入るためには、草が植わった南側の庭からアプローチするように意図していたのですが、どうも岡田さん一行は、駐車場からホールへの直線コース、すなわち横から入られたようです。


このセ ンターのホールは、ラオスでは珍しく、どんな子どもでも気軽に入れるようにと、外部に完全に開放され、仕切るとか鍵を掛けるなどとなっていません。そのため、雨が吹き込んだ時に,ホールの中に入り込まないよう、内外で3㎝ほどの段が付いています。


この段差に大臣が、オットットとつまずいてしまったのです。何歩ふらふらしたか、どんな格好だったのか、スタッフの報告にはありませんでしたが、岡田大臣、お付きのみなさん、ヒヤッとさせて済みませんでした。設計の問題です。

段差というのは、つけるのならはっきりつけ、そこに差があることを無意識に意識するようにすべきですが、このように、余り差がなくほんの少しの段差が、一番扱いとして難しいですね。縁に黒色タイルでも回せばいいのでしょうが、デザイナーとしてはなかなかしたくないケースもあります。床のタイルも色を変えて注意を喚起しているのですが、これでは十分ではなかったということになります。


岡田大臣はニコッとしないひとで有名ですが、この時も、スタッフの話にあまり笑顔で応えてくれなかったようです。スタッフが気にしていました。
また贈り物も受け取らないということに徹していらっしゃるとのことですが、子どもたちが見送りで「花」を日本語で歌い、小さなプレゼントを差し出したら、ちょっと戸惑いながら受け取ってくれたということ。少々の融通は、子どもたちのためには、良かったのではないですか?岡田さん。


建築家 モグモグ日記 建築家 モグモグ日記


特定非営利活動法人ラオスのこども スタッフブログはこちら

http://deknoylao.cocolog-nifty.com/blog/2010/07/post-6ee9.html

建築家 モグモグ日記8月の上旬、日本橋三越本店で三越加工部100周年記念ということで、JAPAN CREATION WEEKと銘打ち、バンブーチェアーが展示されていました。
三越加工部??なんて聞いたことがないなと思い調べると、今は無き三越製作所のことらしい。創生期は加工部と称したとのこと。


三越製作所のことは今は置いておいて、このバンブーチェアー、数年前新宿のOZONEであった日本のインテリアデザイン展?にもオリジナルが出ていましたが、今回の展示は、新しく製品として売り出すための紹介ということでした。


このバンブーチェアー1937年(昭和12年)に三越設計室に在籍していた城所右文次さんが設計したもの。当時としては日本人の思いが深い竹を使い、非常に繊細にデザインされた椅子として、評価が高かったと聞いたことがありました。たしかペリアンとの関係もあった気もしますが、どうだったでしょうか。(調べられなくて済みません)


この椅子、今回腰を掛けてみると、竹の優しさ、良さが率直に伝わってきます。木のような堅さがないのです。前後のベンドは当然ながら、左右にほんの少しだけ揺らぐ感じが、とても身体に馴染み、ある種の安心感を与えてくれました。これが竹の良さなのでしょう。
「揺らぎ感」、とても面白い感覚です。


当時の加工技術では竹曲げ、強度を出すことは大変難しかったに違いないですが、70年以上経ち、現在の技術で商品化されるとは、デザインのもつ命、魅力を感じさせますね。

デザインをした城所さんは、渡辺力さんと同級生だったということも聞いたことがあります。そして、動員され戦死なさったとのこと、もし戦後も活躍なさったらとても繊細な日本的なデザインをなさったことでしょう。


                                                   http://noguchi-architects.com