フォースはまだ自分の姿が消えていることを確認しながら
アレルについていった。
アレルは頭領と会って話をするという。
魔族の頭領。
いったいどんな人物だろう?
アレルの身に危険が生じたら
自分が盾になって守ろう。
ドキドキしつつもそう、心に決める。
しばらく坑道を進むと、だだっ広い広間に出た。
そこはちょっとした居住空間になっており
なかなか快適そうな場所だ(多少黴臭いが)
ゼイラがそう思って観察していると
アレルは声をかけた。
「アストロノノノ?」
「フワカベース」
なにやら話が始まったが
もちろんフォースにはちんぷんかんぷんだ。
だが、二人がだいぶ話終わった様子をみて、
さいごには握手を交わすまでとなり、
何事もなく終わりそうな様子にほっと胸を撫でおろした。
そこに後ろから誰か走ってきた気配がした。
「フカンデベレーボヌス!」
何か怒っている様子のその人物は
さきほどの坑道の奥で
アレルに掘り出した鉱石を渡していた魔族の親方だ!
「ボフス!ペラ」
アレルが変装していたことがばれたようだ。
…これはまずい。
フォースが身構えると、
ゆっくりと振り返ったアレルにナイフを投げつけた!
「あぶない!」
フォースは思わずアレルの前に立ちふさがる!
ナイフが、フォースの直前に到達したとき…
なぜか時間が止まった。
アレルがどうにもならず、その様子を見ていたが
時間は確かに止まっている。
すると、フードを被った見知った魔導師がふっと
なにもない空間から現れた。
魔導師がフードを脱ぐ。
「きみは、時魔導師のピート」
「はい、そうですアレルさん」
第6話の②で登場した時魔導師ゲンスの弟子。
耳が兎のような獣人とのハーフの彼は
この地になにか所縁があってもおかしくは、ない。
「あなたは、さきほど、ちょっとした過ちを犯しました」
「…」
「その行動の修正を許すかわりに、少し私にあなたの時を頂けませんか?」
「このままでは、フォースが死ぬ。君に従おう。」
そうアレルが言うと周りがすごいスピードで動くのを感じた。
これが、時魔法、か。
「また会いましょう、アレルさん。」
ピートの声が遠く聞こえた。
~~~~~
アレルは少し、目がくらんだが場面が急に切り替えられ、
魔族の貴族に姿を変えたアレルが坑道の奥に立ったところまで
戻っていた。
「なるほど。」
アレルは妙に納得した。
先ほどのこの坑道で採掘をしている魔族たちから
原石を徴収した。
その行動を改めろというのだろう。
「ノマス、 ァレ?」
「レ エラルファス」
そう云って原石の徴収を断る。
あとは、その後と全く同じ行動をとる。
すると、鉱石を徴収しなかったので
統領と接触するシーンで親方は現れず、
フォースの死を回避できた。
フォースにこのことは絶対に秘密。
アレルは内心ほっとした。
自分の軽率な行動がフォースの
先の道を断ってしまうことになりそうだったとは…
そして、自分の長い時を僅かにピートに
捧げてもおつりがくるくらいの幸福に感謝する。
フォースとアレルは、長い坑道を後にし、
段差の激しい階段をふたり、汗をかきながら上がった。
「ところで、魔族と獣人はなんで揉めてたんだ?」
フォースが問うので答える。
「お互いの住処から鉱石を掘り続けていたら坑道が繋がったらしい」
「は?どゆこと?」
つまり、獣人族と魔族たち、双方が鉱石を掘り続けた結果、
同じ坑道がつながってしまい、その利権で揉めたということらしい。
何度か話し合いの場が持たれたが交渉は決裂。
獣人たちは魔族に武力で追い出される形で逃げてきたという。
だが、魔族はなにか勘違いしていたようで
自分たちの領域に勝手に住まいを作り、宝石まで発掘したと
怒っていたのだが、むしろ、侵入したのは彼らのほうだと
アレルが説き伏せたのだった。
「獣人族は今までどおり、この島に住めることになった。」
魔族も話せばわかってくれるのだ。
待たせていた飛行船にアレルとフォースは乗り込む。
一路ルアーガに戻った。
フォースとはそこで別れ、上司や同僚に事を報告する。
「じゃあ、獣人族たちはまた島に住めるんだな?」
「そうです」
アレルは事の顛末を上司や同僚にかいつまんで説明した。
事態はアレルの活躍と、フォースの大きな献身によって収束した。
「まぁ、無事に済んでよかったということには違いないんだが…」
同僚のダガーが何か気づいたように発言した。
「何?」
「この用意した100棟の住まいはどうすればいいんだ?」
「あ!」
第35話 原石探し ③ 終わり 第36話に続く…
***
魔族も話せばわかってくれる。
今後なんだかキーになる言葉かもしれません。
坑道が繋がったということは
どこかとどこかが実はつながっているということ…
これからの物語の鍵になる展開の幕開けになります。
もうちょっとクッションを置いた後、事態はクライマックスに向けて
発進していきます。
(何度も云っているなかなか始まらないクライマックスですがw)
また続きを書いていきますね。
できるだけ早いうちにお会いしましょう。