留学生は、自分の日本語能力の証明のために、日本語能力試験(以下JLPT)を受けます。言葉(語彙)や文法の「機能/function 」について、留学生が納得できる説明をするのも、私の仕事の一部です。
 JLPTの問題というのは、たとえば以下のようなものです。

 A: あの店は安くておいしいです。
 B: (                )人気があるんですね。

  1 それに 2 それで 3 それから 4 それまで (答え: 2)

一方で、一般的な会話では
【会話1】
 A:「昨日、先生に呼ばれてさー。」
 B:「それで?(何か言われたの?)」
とか

【会話2】
 A:「これから彼氏と映画。」
 B:「それで!(バッチリ化粧してるわけだ!)」
とか

【会話3】A:「ちょっと、あんた!ぶつかったら、謝りなさいよ!」
 B:「それで?(何か文句あんのか?)」
とかいった会話もあるでしょう。

「それで」と書けば、たったひらがな3文字なのに、いろいろな意味を表現できてしまいます。

 例題の答えと【会話2】の機能は同じで、「なるほど、そういう理由ですね」という意味になります。

 一方、相手から更なる情報を引き出すという点では、【会話1】と【会話3】は同じ機能を持っていると言えますが、実際の会話では【会話1】なら、「それでそれで?」とか「それで、どうしたの?」とか「え〜それで?」とか友人と思われる相手を心配する表現が続くのではないでしょうか。あるいは「それで?」とだけ言った場合も、相手に寄り添う声のトーンや話すスピード、顔の表情などで心情を表しているはずです。

 ところが「それで?」とぶっきらぼうに反応した場合、多くの人は更なる情報を求められているとは感じずに、相手は自分に異を唱えたと感じるでしょう。

 ここでお兄ちゃんの登場です。
うちのお兄ちゃんは、「その先を聞きたい」という機能を働かせているつもりで、しかし、とてもぶっきらぼうに(表情も声色も乏しい状態で)「それで?」と聞いてしまいます。実は、こういったこともアスペルガーと呼ばれたお兄ちゃんジャンルの人には苦手なことのようです。

それで、この間も(ここでは、理由の「それで」ですねw)会話がこじれてしまいました。

 私は、こんな風に俯瞰してものを言っているようですが、対お兄ちゃんとなると、ついアスペルガーの特性を忘れて、お兄ちゃんの「それで?」を聞くと、ムキーっとなってしまって、あとからやっと、「お兄ちゃんに他意はなかったのに」と反省する日々なんです。

 お兄ちゃんに言わせると、「お母さんも発達障害じゃないのか?」とのことです。
あるいは、そうかもしれません。

 お兄ちゃんと私のドタバタをブログに載せることで、自分の学びと誰かの助けになれたらいいなぁ!と思っています。