お久しぶりです。
では、話の続きを執筆していきます。

院内学級に通級している内に、中学生ながらも様々な経験をします。

それは、「仲間の死」です。

毎日当たり前の様に通学しても、朝には机が一つ、ポツンと空いたまま。
勿論、小児病棟にいる皆は知っていますが、決して口にしないのが暗黙のルール。
そう、「仲間の死」を悟らねばならないのです。

私の唯一の親友になってくれた、リリカちゃん。
彼女は、悪性リンパ腫の脳転移で入院をしていました。私と出会った時は、既に緩和的治療に入っていたのです。そんな素振りを見せず、私と仲良くしてくれていたリリカちゃん。
亡くなったと聞いた時は、ベッドでずっと泣いていました。
そんな時、ひょんなことからリリカちゃんのお母さんが心療内科病棟に来てくれて、私に会いに来てくれました。

「貴女がリリカのお友達のカスミちゃん?」
「はい。この度は…………(涙)」
「カスミちゃん、泣かないで。リリカはね、最後までカスミちゃんとお話したいって言って亡くなったのよ。」
「……。」
「カスミちゃん、これは私とリリカからのお願いなんだけれど、もしカスミちゃんの身体が安定して、退院出来たら、リリカの分も高校生活を送ってくれないかしら?」
「……え?」
「リリカ、全日制の高校に入るのが目標で毎日過ごしていたの。でも、叶えられなかったの。だから、頭の良いカスミちゃんに叶えてもらって、リリカの分も過ごして欲しいの。ご無理言って本当にごめんなさいね。でも、約束してくれると、リリカも喜ぶと思うの……。」

私は、この流れで「はい!」とは言い切れませんでした。
なぜなら、リリカちゃんが本当に行きたい高校に入れるのかどうか、私と進路が異なる高校だったら無意味なのではないのかと感じたからです。

ですが、それを知らずに即答は出来なかったので、私はリリカちゃんのお母さんにその旨を伝えました。

すると

「カスミちゃんが行きたい高校に行ってちょうだい。そして、そこの高校でリリカの分まで高校生活を楽しく送ってくれるだけでいいの。」

と言われました。

その時、私は中学生ながらに重い責任感を感じつつ、これが院内学級の実情であり、病弱児の私達にしか分からない世界観なのであるということを学びました。


続く。