ポトスライムの舟
津村記久子

 

 



働いて、人生の時間を時給に換算してお金を得て、それでまた生活して働くということに


うんざりしてしまったナガセ


職場でふと見つけた「世界一周クルージングの旅」のチラシ


クルージングの費用は、ちょうどナガセの年収と同じくらい



それが貯まるまでは働いて、生活しよう

それが貯まったら、この生活を出ていこうと決める








幸せなお金の使い方とは?



お金を貯めたい!または節約したい!というとき



お金を使うときにいちいち

「コレに支払う価値があるか」

「今日いちにちでどれくらい損失したか」

ばかりを考えがちになる



それはお金を貯めるために大事なことだと思う


でも、幸せなお金の使い方もある



ちょっとした生活を楽しむこと

会いたい人に会ってどこかに行ったり

誰かを助けるためにお金を使うこと



自分の生活のためにがむしゃらに働いて使うことも、不幸せだというわけではない



ナガセの友達、りつ子は

子連れで家を飛びだし、何もないところから職を得て、必死に働き、

自分と子の生活を最低限立て直すためにお金を使う




だけどもそこに悲壮感はない


ただ明るいほうへ力強く進んでいくように見える




ナガセにとって、年収と同じお金をまるっと貯めることは容易ではない

病気をしたり、難航するが



彼女が思わぬタイミングでその金額を手にしたとき…




幸せなお金って、自由を手にすることだと思う



誰かに会いに行く自由

仕事をする自由

誰かのために使う自由


旅に出る自由 

旅に出ない自由



今日生きる分だけのお金があればいい、ともいいきれないけども