”作家”百田尚樹さんに関して書きます。
一橋大学の講演会の件で盛り上がっているため思い出しました。
ちなみに私は言論弾圧ではない。という認識です。
一番最初に百田さんを私が認識したのはデビュー作の”永遠の0”からです。
読書好きな母親から薦められて読みました。
ファンの方には申し訳ないんですが面白くなかったです。
前もって書きますが「戦争を賛美してる!」や「特攻隊を美化しておる!」
と言った理由ではありません。
アンチメジャーでもありません。セトウツミのバルーンさんに笑われます。あ、何でもないです。
理由はいくつかありますが、
最も意味が分からなかったのは特攻隊員の心理の変化を書かなかったことです。
”永遠の0”のおおまかな物語は、
現代の若者の目から、特攻隊員の祖父の足跡を追う。と言ったものです。
「航空隊一の臆病者」と言われ、
絶対生きて帰る。と命を惜しんでいた祖父が何故特攻をしたのか、
その理由は何か?
が物語のヒキになっているんです。核です。
これ簡単と言ったら何ですが、結構何でも良かったんですよ。
近所の子供が可愛いから守りたい。とかでも良かったと思うのです。
その心理に至る苦悩や過程を観たかったんです。
しかし、「死にたくない」と言っていた状態から「命をかけて守るものがある。」
という心理の変化に対する描写が全くなかったんです。
その描写を省いて急に
優しかった祖父が病的とも言える状態になって特攻隊で死ぬ。
みたいな書き方だったんです。
行間を読め。と言った反論もあるかと思いますが
読もうにも無いんです。読み飛ばしたかと思って確認しましたが私には分かりませんでした。
現実には強制的に特攻隊に志願させられた人もいたでしょうが
その描写も無いのです。ただ急に人が変わってるんです。
いや、そこ知りたいんやけど。。。何のために死んだの!?
後半にかけて、祖父が救った人が、祖父への恩返しで人助けをする。
みたいな描写があるのですが、何故するのかに説得力を感じません。
命助けられたから。とか言われても特攻隊である理由が分かりません。
二度目は”「黄金のバンタム」を破った男”です。
ファイティング原田という実在の天才ボクサーを扱ったノンフィクションです。
ジョーを読んで以来、ボクシングが好きなので作者を確認せずにヴィレバンで買いました。
ジャケ買いですね。一発目の弾丸が眼球に命中しました。
読んでからしばらく後で作者が百田さんだと知りました。
再度ファンの方には申し訳ないのですが、つまんなかったです。
ただただ、今のボクサーと比べられないくらい凄い。ということだけ書いてあって
どう凄いのか?何が凄いのか?
具体的な描写が皆無で、伝わってこなかったです。
そもそも現役で頑張っているボクサーに失礼じゃない?という印象を受けました。
三度目は”殉愛”です。
読んでません。すいません。
大阪で絶大な人気を誇ったたかじんを扱ったノンフィクションですが
事実と反するとして親族から裁判を起こされていて読む気がうせました。
作者は百田さんではないのですが
”木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか”という本があるんです。
実在した無敵の柔道家、木村政彦に関するノンフィクションで、無茶苦茶面白いんです。
鍛えすぎて背中が踵くらいカッチカチになったり、いたずらでウンコ食わしたりと
描写がいちいち細かいです。
その上、作者の熱量がビンビンにほとばしっています。
作者が木村を好きなことが分かる取材の質と量、
さらに、何で殺さなかったんだ?
という作者自身の疑問を紙面にぶつけてます。
木村と作者の凄みを感じる快作でした。
ご自身では「三文小説家」と自嘲的に仰ってますが
そう思われているのであれば
取材と心理表現をもう少しでいいので突き詰めてほしいです。
何なら講演会の件で一冊書けばいいとすら思ってます。
一日でも早く一両小説家になることを願ってます。
fin