フランス車に16年乗って、今度の車もフランス車である(今度の車はスペイン生産だけど)。でも特にフランス生まれの車にこだわりがあるわけではない。またフランスという国には30年前に一度、1週間ほど滞在したのみであるし、彼の地についてよく知っているわけでもない。


最初のフランス車はプジョー307SWだった。購入したのは2005年11月で、ちょうどフェイスリフトを伴ったマイナーチェンジが行われた直後であった。当時5年の海外勤務から帰任して、早急に次の車を決めなくてはならない状況だった。条件は子供が大きくなったのでワゴン、通勤の都合で高速走行が快適な車、という程度であった。最初に候補にしたスバルレガシイは妻に却下され、以前乗っていたVWゴルフはモデルチェンジ直後でワゴンの輸入は翌年以降という話を聞き、選択肢から消えた。


ちょっと途方に暮れながらドライブをしていて、通りがかったディーラーのショールームに綺麗な色をしたワゴン車が見えた。軽い気持ちで入店して営業の方に話を聞いた。

「この数年でプジョーの日本国内販売は大きく伸びてるんです」「都会より道路事情の悪い地方の方が、プジョーの猫足はフィットするんです」といった話だったように思うが、まあそうなんだろうなーという感じで聞き流して実車を見せてもらった。


展示されていた307SWは慣れ親しんだゴルフⅢに荷室を付け足したようなサイズで、自分が望むクルマのイメージにぴったりだった。もともと私はシンプルで実直なモノが好きで、華やかなイメージの車を買うような人間では無かった。しかしその時点では海外赴任中の経験を通じて、多少のプレミアム感やデザインの華やかさがちょっとした暮らしの潤いを与えることも理解できており、307SWと暮らす新しい生活が、ワクワク感と共にイメージできた。幸い妻の説得にも成功し、その後現在まで続くプジョーライフが始まったわけである。


なので、私の場合はフランス車やフランスという国に長年の憧れがあったわけでもなく、たまたま出会いがあって現在まで乗り続けているのだ、と言いたかったのである。そしてその出会いはとてもラッキーなものだったと思える。同じ輸入車といってもドイツ車とはやはり違うし、いまだに新たに踏み入れるのにはハードルの高い世界かもしれない。私にはフランス車へ導いてくれた師匠のような人もいないし、あの日ディーラーのショールームに307SWを見かけなかったら、プジョーに乗ることは無かったはずだからだ。