年金一元化に伴い、難しいのは保険料負担のアンバランスさでしょう。
同じ専業主婦でも夫が会社員(公務員)である第3号被保険者と夫が自営業者である第1号被保険者では、生涯に負担する保険料はゼロ対数百万円であるのに対し65歳からもらえる年金額は全く一緒!という話をミスター年金に期待 その1 でしましたが会社員と自営業者も根本的に保険料の負担の仕方が違います。
ご存じのように会社員は給与天引きで厚生年金保険料を徴収されています。
この率は今15%程度で、4・5・6月の給与の平均で等級が決められその等級に対してかけられます。
たとえば給与の平均が30万円であればその額に15%をかけた45000円が保険料、ただし会社員は会社がその額の半分を負担することになっているので実際の負担額は22500円・・・ざっとこんな感じです。
でもこの料率もこれからどんどん上がります。
これは平成15年にすでに決まって実施されていますから、今回の年金一元化でも変わらないでしょうね。
どんな風に上がるかというと、平成29年に18.3%まで引き上げられることになっているので、徐々にその率に向かってまいとし0.354%ずつ上昇します。
平成16年までは13%程度だったので、この上昇率は大きいです。
しかしこのような制度変更意外と知らないのですよね。というから知らされていない?
仮に30万円の給与の人が年金保険料13%だったころと18%まで引き上げられてからの保険料自己負担を比較すると19500円と22500円との差額は年間36000円。
月にすると3000円程度なので、「ま、その程度なら」と思っちゃうかも知れませんが年間に直すとね・・・
これが会社員でいる限りずっとですから、大変な額です。
もっといえば会社は個人が負担する額と同じ金額だけ負担が増えるわけですからたかだか毎月3000円の負担増であっても社員が1000人いれば月間300万円、年間3600万円の経費負担増となります。
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経営者であれば、なるべく社会保険料を支払わなくてもよいようなパートさんや派遣さんを雇いたくなる気持ちも分からなくもなくなります。
このほか会社は企業年金というまたまた大きな荷物を背負っていますから、その負担たるや・・・日本でも多くの企業がこのレガシーコストにあえいでいるというのが現状です。
ちょっと会社員の保険料についてが長くなりましたが、一方自営業はの保険料は定額
この定率と定額とそもそも保険料の徴収の仕方が違うので、一元化になったらどうするんだ!!と思うわけです。
定額というのは、14660円
こちらもやはり平成28年に16900円までに引き上げられる予定
仮に国民年金保険料を15000円と考えると、これは月収入が20万円なら7.5%に相当します。
あれって思いませんか?
つまり月の収入20万円くらいなら自営業者と会社員が個人として負担してる保険料はほぼ同額で、しかし65歳からもらえる年金は自営業者は国民年金のみ、会社員はさらに厚生年金を上乗せして受け取れるということになります。
でも月に50万円稼ぐ自営業者なら保険料の15000円は3%にしかすぎず、会社員が負担する保険料率よりも少なくなる計算です。
ちなみに会社員であっても月65万円以上の収入があると保険料負担等級の上限になるので、実際に負担する「率」は減っていきます。
結局ここでも
収入の少ない人は保険料の負担率が大きく 収入の多い人は保険料の負担率が小さい
という構図があるといえるのではないでしょうか?
まだまだ年金については気になっているところがあります。 なかなかこのシリーズ終わらないかも!?
会社員の社会保険について興味のある方は拙書「給与明細で分かる税金の社会保険の大原則」(翔泳社
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