大峯山の千日回峰行は、比叡山の回峰行者、故・箱崎文應師の協力によって、ごく最近に行われるようになったものだ(天台宗と、大峯回峰行を行っている金峯山修験本宗は、同じ天台系寺院として縁故宗派と呼ばれる関係にある)。 この大峯の千日回峰行の満行者は、現在のところ、まだ二人しかおられない。一人目の大峯回峰行者である柳澤眞悟師が千日を満行された時のニュースを、私はかすかに覚えている。 最近、大峯回峰行のことも徐々に世間に知られるようになり、メディアへの露出も増えている中で、こうした事情を知らない人たちが、大峯の回峰行の方が距離数が長い分、大変だとか、インターネット上で結構、好き勝手なことを、たくさん書いておられたりする。 近年に新しく始まった行だからと言って、貶めるつもりはさらさらなくて、あくまでも行というものは、仏法を体得するために行じるものであるから、優劣は無い訳だが、ただ、「大峯千日回峰行を満行したのは、1300年間の間にたった二人しかいないから、すごい行だ」という、最近メディアで盛んに言われている言い方は、明らかにおかしい。 たとえ大峯山の歴史も含めた、先行する諸々の行を踏まえて成り立っているにしても、大峯の千日回峰行は、戦後になって始まったばかりの歴史の浅い行であるが故に、まだ二人しか行じた人がいないというだけのことなのだから、「1300年の間にたった二人しかいない」という言い方には、ちょっと意図的な語弊があると思う。どの行も等しく、正確に理解することが、仏法を正しく伝えることになるのではと、老婆心ながら、ちょっとお知らせさせて頂いた次第です。