お義母さんには夜中に連絡しても交通手段がなく、心配するだけだから朝連絡することにした。


朝になったら武志くんも目を覚ますだろうとこの時はまだ思っていた。


結局状態は何も変わらず時間だけが過ぎていった。


9月10日…5時20分頃。

朝早いけど私がもう限界…。
お義母さんに電話をかける。

なんて説明したらいいんだろう…。
なんて言われるんだろう…って怖い気持ちもあった。


電話をすると早朝にも関わらず機嫌よく出てくれた。
『おはよう、ゆうこちゃん。産まれたー!?』


こんな朝早くに連絡あったら誰もがそう思うよね。
まさか、息子が倒れたなんて思わないよね…。


とても言いにくかった。
でも話をした。

すると最初は理解できず、えっ?という感じだったけど、『よく頑張った。すぐ行くから大丈夫。あとちょっと頑張り!』って言ってくれた。

数分後、義姉から電話がきた。
『ゆうこちゃんごめんね。ちょっと状況がわからなくて…』と。
電話の向こうで大号泣しているお義母さんの声が聞こえる。

パニック?になり家族に説明できない状態だったみたい…。


再度説明して電話をきる。


始発の新幹線できてくれる。
1分でも早く来てほしかった。



それからもただひたすら待つだけ。

9時に担当医が来るから診察を受けることになっていた。


結果が出てため呼ばれた。

家族も一緒に聞いてもらった。



結果は・・すべての検査異常は見られないと。

脳に梗塞や出血が起こっているわけでもない。少し安心した。


でも原因が分からない・・



医師に質問はないか聞かれたが、現実が理解できない私は質問すら分からない。

ただ1つだけ、「意識が戻れば後遺症は残らないですよね」と聞いた。


「それはなんとも言えません」と返事がきた。



ショックだった・・


ショック過ぎて力が入らず、息子を抱いたまま立ち上がることができなかった。


それに気付いた弟が息子を抱き、やっとの思いで部屋を出た。



とりあえず朝まではこのまま様子を見ることになった。




看護師に「予定日はいつなの?帰って休みなさい」とか色々言われた。


帰れるわけがない。

休めるわけがない。


心配する看護師が仮眠室を用意してくれた。



武志くんのベッドの横に座っていたけど、お腹が大きくて、長時間は気分が悪くなって無理。

様子を見に行って、横になっての繰り返し。



お義母さんにはいつ連絡しよう・・



どうなるんだろう・・



陣痛きたらどうしよう・・



とりあえず、陣痛きたら私は1人で大丈夫だから、家族には武志くんについていてもらうように話す。


助産師さんが付いてくれるし・・。

1人目を産んだ時、助産師は神だと思った私は出産への恐怖は全くなかった。



とっても長い夜。


一睡もすることなく朝が来た。

電話をしてから5分もたたないうちに救急車が到着した。


救急隊員が入ってくる。

状況を説明してすぐに処置が始まる。


血圧正常。

spo2:84%

自発呼吸あり。

意識なし。


受け入れ先を探す。

私は携帯と母子手帳を持ち、行く準備をする。


23時。

救急隊員、消防隊員5人掛かりで救急車へ運ぶ。

外に出ると近所の人がたくさんいた。


妊婦の為、何かあったらと弟も一緒に乗ってもらおうとしたが、救急隊員に「1人にしてください」と言われる。


「武志くんに搬送中何かあったら嫌だから私が行きたい。でも途中で陣痛来たら迷惑かけるよな・・」とか考えていたら、救急隊員が私が妊婦であることにやっと気付いたみたいで2人乗るように言われた。


息子は母に任せ、母は車で病院に向かう。


車内ではずっと救急隊が受け入れ先と連絡を取っている。

「バイタル正常。意識レベルⅢ-300・・」


何が起きているのか分からない・・

ひたすら声をかけ続ける。


そして車の振動は妊婦には結構キツイ・・

さっきまでどうもなかったのにやっぱり張ってくる。

落ち着け、落ち着けって言い聞かせながら30分くらいで病院に到着した。



すぐに処置室に運ばれた。

ずっとその様子を見ていた。

点滴、バルン留置、マーゲンチューブ挿入・・


さっきまで普通だったのにあっという間に病人・・


そして私は何回も何回も同じことを聞かれる。

普段冷静な私もイラッとした。



CT、MRIをとるから同意書にサインをした。


結果を聞くのが恐い・・・