またまたバーネットの作品です。こちらは児童書です。
コロナ蔓延前にさいたまで塾を営んでいました。その時、小学生の子供達がもう私が子供の頃に読んでいたような本は殆ど読まない事を知り驚きました。今の子供達は古めかしく、自分達の生活とかけ離れているお話は興味がないようでした。現実からかけはなれ自由に考えられるのが子供の特権と思っていたのに........余りにも子供達が現実的になっていて悲しくなりました。この本は所謂児童書なので......数年で状況が変わっていない限り親も選ばないだろうし、子供も興味を持たないのだろうと思います。しかし、本当に素敵なお話でした。
おばあさんが大事にしていたドールハウスは孫に引き継がれ、もう手入れはしてもらえず家も人形もボロボロになっていました。新しいドールハウスと人形がやってきて、古い人形たちと家は椅子の裏に片付けられて処分を待つことになりました。そんな時、ボロボロだけれど気だてが良く愉快な人形たちが大好きだった妖精の女王が彼らに力を貸してくれて....
最初に妖精の女王から読者への言葉が書かれています。これもまた面白かったです。バーネットはイギリス人ですが、この妖精の女王からなんとなくアイルランドをイメージしてしまいました。
妖精はね、すききらいがとてもはっきりしているんです。だから、もしあなたが、うぬぼれやとか、かんしゃくもちだったら、たぶん一生、妖精とは知りあいになれませんよ。 キマグレ女王
本を手にするまでは、これは古い本だとばかり思いこんでいました。しかし比較的最近に翻訳が出ていないので訳者の人が日本語に直したようです。更にバーネットの他の本が読んでみたくなりました。
『オンボロやしきの人形たち』
F・H・バーネット著、尾崎愛子訳
徳間書店、2021年