都甲幸治著『教養としてのアメリカ短篇小説』で紹介されていた作品を全て読み終えました。この先生が解説していた作品は全て私好みでした。ブログのお友達もそうですが、好みが大体一致していると紹介してもらった本はほぼ好きなタイプである事が多いです。

 

都甲氏が著書で取り上げていたのは『足もとに流れる深い川』と言う作品で、男女の感覚の違いが判るのですが、氏の著書を読んでいなければ自分では気づけたかな?と思いました。その他、村上春樹訳編のアンソロジー『バースデー・ストーリーズ』に収められていた作品もありました。全体的に終わり方は悲しくて救いがないです。カーヴァ―自身がアルコール依存症で苦しんでいたので登場人物が同じ悩みを持っているパターンは非常に多かったです。自身の抜け出せない苦しみを主人公に投影させているのだと思いました。

 

同じような悲しい終わり方でもアメリカ文学とイギリス文学は雰囲気が全く異なるので面白いと思います。またアメリカ文学には飲酒や暴力の問題が含まれている事も違いの一つだと感じます。イギリス・アイルランド文学は景色の描写が多く、それが想像力を膨らませ、映画のワンシーンをイメージさせるので私はイギリスやアイルランド文学の方が好きなのだと思います。

 

『ビギナーズ』

レイモンド・カーヴァ―著

村上春樹訳、中央公論新社

2010年