ニーチェの詩がエグいと思い、いつか読んでみたいと思っていました。

 

 

私が思っていた内容ではなく滅茶苦茶ポジティブなニーチェの言葉を集めたものでした。ニーチェの作品の抜粋版で「己」「喜」「「生」「心」「友」「世」「人」「愛」「知」「美」の10項目に分類された詩が載っています。どの詩も良いのですがその中で特に心に残ったものを幾つか紹介します。

 

「心」の中の『平等の欲望』

平等の概念語を好んで使う人は他人と比較して、自分のレベルまで下げようとする人と自分を高めようとする人がいて見極めが大切と言う内容でした。(心 059)

 

「知」の中の『読むべき書物』

読むべき本は読書前と後で世界が違って見える本や読んだ後で心が洗われたことに気付くような本であるという内容でした。(知 183)

 

訳者の方の訳がとても良いからと言う事もあるのでしょうが本当にこれもあれも紹介したいと思うような内容でいっぱいでした。出口が見えなくて思い悩んでいる人、疲れている人におススメの本だと思います。ニーチェの『人間的な、あまりに人間的な』、『善悪の彼岸』を次に読んでみたいと思いました。

 

最後に1つだけ引用を載せたいと思います。

 

Geistigkeit 071

疲れたと感じたら、考えない、思わない

 

 いつものように毅然としていられなくなったら、疲れている証拠だ。

疲れていると、わたしたちは溜め息をつき、愚痴を口にし、後悔を口にし、ぐるぐると似たようなことを考え、そのうち憂鬱なことや暗いことが頭の中を勝手に動き回るようになる。

 それは毒を吸うようなことだから、疲れたと感じたら、考えることをやめ、休んだり寝たりするに限る。そして、また毅然として活動できるように明日に向かって備えよう。 『悦ばしき知識』

 

日本では辛い時でも努力することが美徳のように考えられていて、そうしない人がまるで悪い人のように考えられがちです。でも、私は自分を守るためにもこういう考え方は必要だと思っています。

 

『超訳 ニーチェの言葉』

フリードリヒ・ヴィルヘルム・ニーチェ著

白取春彦編訳

ディスカバートゥエンティワン

2010年