優しい花火大会
優しいあなた、毎回押していただいてありがとうございます。
すごく励みになります。
今日もお立ち寄りいただいたあなた
いつもありがとうございます。
はじめましてのあなた。
ご縁をいただき感謝します。
今日のお話は、私には珍しく昔の話です。
なんだかふと思い出してお話したくなりました。
早速、始めますね。
もう10年近く前のお話。
旅好きな私は、その日キャンピングカーで
秋田県の男鹿半島にいました。
なまはげ館などを楽しんだあと、
夜は花火大会へ。
地元で作る、地元の人のための
花火大会。
そんなイメージでほのぼのとした
空気が漂っていました。
あまり、ゴミゴミすることもなく
ゆったりと席を確保して
始まりをまっていると、
多分、本業の方と思われるDJの声が
会場を盛り上げます。
まだ、大会が始まって3回目か4回目ぐらいだった
と思いますが、地元を盛り上げるために
一生懸命になっている思いは伝わってきました。
そんな中、花火の開始時刻7:30になり
さぁーいよいよかと待ち構えていると
先ほどのDJの方が明らかに声色を変えて
真剣に語りかけます。
『えー、○○市からお越しの○○ちゃんが迷子になりました』
『○○ちゃんは、14歳で○○な格好をしています』
『○○ちゃんは少しだけ障がいを持っており
自分で名乗ることはできません』
『近くでそんな方を見かけた方は、あなたの方から話しかけて下さい』
『近くにそんな方は見当たりませんか?』
急に異様な空気と、心配の気持ちで会場がひとつになり
全員が○○ちゃんを探しています。
花火の打ち上げ時間から10分ぐらい過ぎても
○○ちゃんは見つかりません。
『みなさん、もう一度だけ周りに気をつけてみてください』
『暗闇で分かりにくいと思いますが、見つけてあげて下さい』
そのとき、一旦消された会場の電灯がもう一度灯りました。
『○○ちゃんが見つかるまでは、花火は打ち上げません』
『みなさんで、優しい花火大会にしましょう』
涙声で真剣に語りかけるDJさんの声に
こちらももらい泣きしそうになりながら、
真剣に探します。
それから、また数十分は経ったでしょうか。
突然、会場の中で両手をあげる人が。
大きな声で、ここにいるよーと叫んでいます。
気づいたDJさんが、
『○○ちゃん見つかりました!』
『親御さんは、すぐに迎えに行ってあげてください』
『あそこです!』
そこは、かなり離れた場所でした。
『親御さんの元に○○ちゃんが戻られるまでは
花火は打ち上げられません、照明も消せません』
『みなさん、どうぞご理解下さい』
『みなさんで、優しい花火大会にしましょう!』
会場は、一発も打ちあがっていない花火に
関係なく、拍手の渦になりました。
全員が立ち上がり、同じ方向を見つめていました。
私も手を叩きながら、涙をこらえていました。
もちろん、文句を言う人などひとりもいません。
最高に感動した、花火のない花火大会。
あの涙声のDJさんの声がずっと心に残っています。
私にとって、人生で一番感動した花火大会でした。
人と人とが助け合うこと。
優しさを持つこと。
熊本、大分にもこの想いが届き
ツラい中にも感動で心が穏やかになる瞬間が
あればと思い、こんなお話をしました。
明日は我が身です。
他人事とは思えません。
それでは、また。