背筋にぞわぞわとした不吉な予感が走った。やがて、公主(コンジュ)の居所の扉が開かれ、十数人の宮女(クンニョ)たちが綺麗に一列になって入って来た。女官たちのもっている茶器を見ると、ラオンは口を噤んでいることができなかった。
「公主媽媽(コンジュママ)、これは一体何でございますか?」
「お茶でしょう。」
「そのようにたくさんのお茶を召し上がるおつもりでございますか?」
「言わなかったか?暇つぶしだと思って茶を楽しんでいると。」
なるべく目を伏せたまま澄まして答えたミョンオンが、ポリョ(座布団)の上に腰を落として座った。
「あ・・・・・。」
感嘆とも悲鳴とも言えない変なため息がラオンの口から漏れた。それでも、不幸中の幸いなことといえば、公主媽媽(コンジュママ)が暇つぶしだと思って茶を楽しむということだった。
本格的に楽しまれたら、どうなることかしら。この宮殿には、楽な仕事ってひとつもないんだわ。
***
ミョンオン公主(コンジュ)は、七種類の茶葉を三度茹で沸かし、それを飲んだ後、ラオンを逃がしてやった。特別何の話をしたわけでもなかった。ただ、茶を入れて、入れた茶を飲む時間は、どこかぎくしゃくしながらも、緊張感あふれる時間を過ごしただけだった。
ラオンは疲労困憊して寶慶堂(ポギョンダン)を出た。
「あぁ、本当に長い一日だったわ。」
いつの間にか、外は暗くなり始めていた。緊張していたものが解けたのか、突然足から力が抜けた。ラオンは痛む足を揉むために、斜めに身体を傾けた。しかし、次の瞬間、急に頭の中が真っ白になり、立っていられなくなった。
やっぱり私、体調が悪いんだ。
公主(コンジュ)の前では緊張していたために、具合が悪いことを少しだけ忘れていた。今になって緊張が解けて、薬の効力でけだるさに加え、めまいまで合わさって出てきてしまったようだ。
その時だった。
「大丈夫ですか(ケンチャヌシムニッカ)?」
いきなり肩を抱えてくれる手の方へ、ラオンは顔を向けた。
「あれ(オ)?」
さっき、ミョンオン公主(コンジュ)の居所で会った、その男だった。
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キターーーーーーーーーーーーーー(///∇//)