「お前があんなことをしでかしておきながら無事でいられると思っているのか?」
左捕盗庁(チャポドチョン)従事官(チョンサグァン)チェ・ジェウの顔が恐ろしく歪んだ。彼は両親を殺した仇にでも会ったような目つきでラオンを睨んだ。
「一体私が・・・・何をしでかしてしまったとおっしゃるのですか?まずは、ここから詳しくお話しください。」
顔の血管が膨れ上がりそうなほど、息が詰まって来た。ラオンは拳を挙げて、チェ・ジェウの手の甲をパシパシと叩きながら叫んだ。しかし、チェ・ジェウはびくともしなかった。いや、かえってラオンの首元をさらにきつく締めあげた。
「お前が畏れ多くも、内侍(ネシ)の分際で女人(ヨイン)を惑わしたことだ!この天下の悪党め!」
チェ・ジェウの表情が険悪に歪んだ。首を絞められているラオンの顔も、さらに青くなった。
その時、二人に近づいたビョンヨンが、チェ・ジェウの肩をトンっと叩いた。それはまるで、久しぶりに会った友の肩を叩くように軽い手振りで。しかし、そんな軽い手振りに、チェ・ジェウの口からは短い声が漏れ出てきた。
「お?」
肩がびりっと痛んだと感じたと思うと同時に、急に腕から力が抜けた。腕の力が抜けたので、自然にラオンの首元を握る手の力も抜けてしまった。
「けほっけほっ!」
チェ・ジェウの手の中からようやく抜け出せたラオンが、目いっぱい咳込んだ。
「大丈夫か(ケンチャンヌニャ)?」
ヨンが彼女の背をさすってやった。
「はい・・・だ・・・大丈夫です(ケンチャンスムニダ。)」
そう答えたラオンの両目からは涙がぽろぽろと零れ落ちた。ほんの一瞬ではあったが、ラオンは本当に殺されると思ったのだ。彼女の涙を見たヨンが眉間に深いしわを寄せて聞いた。
「どうなっているのだ(オッチ ディン イリヤ)?」
ラオンは首を左右に振った。
「私にも分からないのです(チョド モルゲッスムニダ)。」
「あの野牛(ドゥルソ)のような奴が言うには、お前がどこかの女人の気持ちを弄んだようだが・・・。」
「本当に分かりません。」
この宮殿に入って来てから知り合い親しくなった女人と言えば本当に片手で数えるほどだった。そのうち三人は畏れ多くも自分がどうにかできる程もないほど高貴な身分の女人たちだ。
「まったく理由が分からないのか?実におかしなことだな。あの様子を見ると、普通のことではないようなのに。」
普通ないのではなく、ラオンを脅している男の様子は険しいことこの上なかった。真っ赤に充血した大きく睨みつける目つきは、今にもラオンを撲殺してやるとでも言うような意志をガンガン燃やしているようだった。胸がひやりとして、苦しいほど、殺伐とした目つきに、心臓が縮まるようだった。
まさにその時、ヨンがそれとなく座っている場を変えた。偶然なのかチェ・ジェウの視野を防いでしまうような巧妙な位置だった。おかげで、ラオンはその殺伐とした睨みからようやく逃れることができた。
もしかして、私を配慮してくださったのかしら?
もしかして、と思い、振り返ってヨンを見たラオンは、やっぱりねという表情になった。それもそのはず、ヨンは普段と変わったこともない淡々とした顔で様子を静観しているだけだった。
確かに(ハギン)、あの冷淡でいらっしゃる花草邸下(ファッチョチョハ)はそんな風に細やかなお気遣いをしてくださるわけがないわよね。
そうはいっても、ラオンはヨンの背中に隠れているだけでも安心できた。
そんな中、ビョンヨンとチェ・ジェウの戦いは険悪な状態になっていた。
「お前はまた何だ(ネノム ット ムォヤ)?あのクソ宦官の奴の仲間か?」
頂点まで怒り心頭なチェ・ジェウが拳を振り回す度、ブンブンと風の音が聞こえて来た。一発殴られれば、岩で作られた人ですら壊れてしまうようなすさまじい勢いで。ラオンは自分でも知らぬうちに『ダメ(アンデ)!』と叫んでいた。ビョンヨンがいつ殴られてしまうかと無性に不安になった。今にも飛び出して行って喧嘩を制止しようとしているラオンの前に、ヨンが立ちはだかった。
「大丈夫だ(ケンチャンタ)。」
「大丈夫だなんて(ケンチャンタイニヨ)。状況を見てください。間違いでもあってキムヒョンが怪我でもされたどうするのですか?」
キムヒョンが怪我をするところなんて、見ていられないです。他でもない自分のせいでそんなことになりでもしたらもっと・・・。
ラオンの切実な瞳を見ても、ヨンはその場をどかなかった。むしろ、ラオンへと手を置いたまま、もっと強く彼女を止めた。
「お前のキムヒョンが信じられないのか?」
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はい、最近恒例の~(笑)
(密かに人気で嬉しいです(笑)写真でミニ劇場~(笑))
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ットン!!
ビョンヨンが男の肩を軽く叩いた。
瞬間、男の腕の力が抜け、ようやく首元を絞められていたラオンがその腕から解かれた。
・・・
ーキムヒョンッ!!
「大丈夫か?」
ヨンがその背を撫でてやると、
っは・・・!!
はぁ・・はぁ・・・。
ようやく息のできたラオン。
思わず涙が・・・・。
「・・・・。」
ラオンの涙を見たビョンヨン。
「一体どうしたというのだ?」
心配しつつも見せないヨン。
それでもそっとラオンを睨みつけるチェ・ジェウから、さりげなく自分の背に隠してやるヨン。
「私も分からなくて・・・」
険悪な状況のチェ・ジェウ(↓写真は勝手に)とビョンヨン。
「キムヒョン!!!!
・・・駄目っ!!!!」
思わずビョンヨンの元へと助けに飛び出して行こうとするラオン。
「お前は信じていないのか?」
ヨンが言った。
「お前のキムヒョンを。」
ちょっと!!!皆さんお聞きになった??
お前のキムヒョン~~~~~~。゚(゚^∀^゚)゚。 アヒャヒャヒャ
ヨンってば(笑)(笑)無意識のうちにどっか棘が・・・・・(笑)
可愛いっ!!!!!!!!