東宮殿(トングンジョン)の庭へと集められた召喚内侍(ソファンネシ)五人が一列に並んで入った。ラオンを始めとする不通内侍(プルトンネシ)たちだった。木や花を植えていた中来たため、彼らの身体中は泥だらけだった。だしぬけに手と足についていた土だけ洗い流したとはいえ、ドロドロな姿がすぐに綺麗になるはずはなかった。彼らは不安げな顔を互いに見合わせた。
「こんな格好で世子邸下(セジャチョハ)にお会いすれば何か言われるのではないか?」
「なにせ几帳面な方だとの噂だし。」
不通内侍(プルトンネシ)たちが東宮殿(トングンジョン)を訪れている理由がまさに、世子邸下(セジャチョハ)の呼び出しの為だったからだ。
「一体世子邸下(セジャチョハ)は私たちをどうしてお呼びになったんだ?」
サンヨルがしきりに東宮殿(トングンジョン)をきょろきょろ見渡しながら、トギへと聞いた。トギがふっくらとした頬を揺すった。
「私たちが知る由もない。もしや、ホン内官は何か知っているか?」
「・・・・どうでしょう(クルセヨ)。」
努めて平静を装って答えたが、ラオンは硬い表情を緩めることはできなかった。しきりにヨンが言った言葉が耳元から離れなかった。
「いつまで逃げ切ることができるだろうな。」(一.白紙の返書の秘密(7))
どうにもそのことと無関係ではないようだ。
王世子(ワンセジャ)と不通内侍(プルトンネシ)。天と地ほど果てしなく遠い関係。いや、伝説上の鳳凰と、土の中に家を作って暮らす蟻ほど、何の関係もない関係だった。もちろん、鳳凰の足に踏まれれば、一度で抹殺されるのが、力のない蟻の一生ではあるが。そんな不平等な関係を考えてみると、より一層、ヨンの言った言葉が、喉の奥に棘のように引っかかった。
「私たち不通内侍(プルトンネシ)が何か邸下(チョハ)の御気分を害してしまったのではないか?」
サンヨルの憶測に、トギが断固とした顔で首を振った。
「私たちがいつそのお方の視野に入ったと言うのだ?何かを見られたというのであれば、御気分を害されると言うだけではすまないだろう。」
「そ、そうだよな(ク、クロッチ)?」
「当然そうだろう。」
トギの答えに、ぎこちないながら笑みを浮かべたサンヨルがもう一度首を傾げた。
「じゃあ、なぜお呼びになったんだ?」
「それは・・・・・私も分からぬ。」
世子邸下(セジャチョハ)の性格(性情)、それがどれだけ冷たいものか宮殿内の人間なら知らない人がいないほどだった。それだけに、王世子(ワンセジャ)の呼び出しを受けた不通内侍(プルトンネシ)たちは屠殺場(トサルジャン)に連れていかれる子牛のように真っ青に血の気が引いていた。普段から、大概のことには動じないトギですら、石像のように硬くなっていた。過去の過ちのせいならば、もしや、そのことが世子邸下(セジャチョハ)と塵ほどでも関連しているんではないかと、戦々恐々としていた。
「本当に何でもないよな?」
トギが心配のこもった声で聞いた時だった。
「心配する必要はない。」
だしぬけに声が聞こえて来た。緊張していた五人の不通内侍(プルトンネシ)たちの頭が一斉に後ろを振り返った。
「チェ内官様ではないですか?」
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世子邸下(セジャチョハ)の御呼出し~~~~・・・・・
ついに・・・
ラオンは逃げ切れるんでしょうかね~( ´艸`)゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚
(公主様が呼ぼうと知らないけど・・・やばい二人に狙われているラオン(笑))