「あ、そうだ。こうしている場合ではないですね。キム・ヒョン、待っていてくださいね。夕食をお持ちしますから。」
「いらん。」
「いいえ。すぐできます。だから待っていてくださいね。」
ラオンが立ち上がって、夕食を作ろうと、部屋を出ようとした時だった。
「よい。」
いつの間に大梁の上から下りたのか、ビョンヨンがラオンの腕を掴んだ。
「キムヒョン。」
数日ぶりに見るビョンヨンの顔は、カサカサと乾燥していた。病人のように血色もあまり良くなかった。
「キムヒョン、どこか具合でも悪いのではないですか?(オディ アップシムニッカ?)」
驚いたラオンが、ビョンヨンの額の額に触れようとした。しかし、彼が頭を避けたため、虚しく手を下ろすしかなかった。
「キムヒョン・・・・・・。」
「どこも悪いところはない(アップン ゴ オプタ)。」
「でも、顔がおやつれになられていますね。お仕事がとても辛かったのではないですか?花草書生(ファッチョソセン)、いえ、世子邸下(セジャチョハ)がおっしゃるには、民乱の主導者と関連のある者たちを探しに行かれたとか。もしかして、乱暴な者たちと会ったのではないですか?何か危険な目にでも遭ったのではないですか?キムヒョン、おっしゃってください。息が詰まりそうです。」
ビョンヨンは突然打ち付けてくる雨(にわか雨)のように質問を投げかけて来るラオンをじっと見つめた。
「お前(ノ)・・・・・。」
聞きたいことがたくさんあるのは、彼もまた同じだった。胸が詰まりそうなのは、むしろ彼の方だった。しかし、このように純粋な顔で自分の心配をするラオンにはどんな言葉も言うことができなかった。その、どんなことですら、確認することができなかった。いや・・・・確認したくなかった!
暫く言葉なくラオンを見つめていたビョンヨンは、突然背を向けて部屋を出て行った。
「キムヒョン、どちらへ行かれるのですか?一緒に行きましょう。(カッチ カシプシオ)」
「面倒くさい。」
ラオンは母の後ろを追う雛鳥のようにビョンヨンの後ろを追った。
「あれ(オ)?」
しかし、部屋を出たビョンヨンは、まるで蜃気楼のように一瞬にして消え去ってしまった。ラオンは周りを見回して彼を探したが、影さえも見えはしなかった。
「キムヒョン。」
何日ぶりかで帰って来た彼に、何か言葉で表現できないような冷たい距離を感じた。
どうして?(ウェ クロシジ?)
さっぱり気持ちが分からないことばかりだ。キムヒョンの気持ちも、それから、公主媽媽(コンジュママ)のお気持ちも。
***
まだ夜もあけていない時間から、内班院(ネバンウォン)の前の庭が賑わっていた。日課を始める前、宦官たちの集合を知らせる鐘(円筒:ヨンドン)が鳴った。宮殿の宦官たちは、地位の上下を問わず、皆、内班院(ネバンウォン)の庭に集まった。
ドンドンドン。どっしりとした太鼓の音と共に、ソン内官が内班院(ネバンウォン)の石の踏段の上に躍り出た。
「皆集まったか?」
彼の問いに、石の踏段の下に集まっていた百数人の宦官たちが、一斉に頭を下げた。
「お前たちも知っての通り、三日後が中秋節(チュンジュチョル)である。今回の中秋節(チュンジュチョル)の宴(ジンヨン)には、宗親(チョンチルドゥル:王の親族たち)や大小臣下はもちろん、間もなく漢陽(ハンヤン)へと到着される清(チョンナラ)の使節団(使臣たち:サシンドゥル)も出席されるはずなので、準備に万全を尽くさなければならない。万が一、どんなに些少であったとしても至らない部分があった時には、治盜棍(チドゴン:朝鮮時代の尻うちの刑)も逃れられない。だからそのように心して誠心を尽くすよう。」
言い終えたソン内官が、石の踏段のすぐ下で立っていたマ・チョンジャへと目配せした。マ・チョンジャが、長い巻物を開いて、その中の内容を、大きな声で読み上げた。
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公主に顔が気に食わないと殴られたマ内官(笑)
なかなか訳せずごめんなさい(*ノω・*)テヘ
この章面白いから待っててね♪