ひとしきり言い争い(舌戦)を行った後、ラオンとヨンは、雑草畑に並んで座っていた。ラオンは、横目でしきりにヨンを覗き見た。
これでは混乱しちゃうわ。
花草書生(ファッチョソセン)。あれこれ言い訳をしてはいるけれど、とにかく自分を追って来たに違いない。そうでなければ、こんなところでばったりと出くわすなんてあるわけがなかった。
初めて見た時から私を見る目つきが尋常ではなかった。
別れるとき、彼が言った言葉を思い出した。
「私の者(ネ サラム)になれ。」
もちろん、嫌ではなかった。女人が見ても惚れてしまうくらいに、花草書生(ファッチョソセン)は美しい男だった。しかし、彼には深刻な欠点があった。男を恋慕する男、ということ。
花草書生(ファッチョソセン)が、私についてくるのは、私が男だと思っているからよ!
もし、自分が女人ということが分かってしまったら、どう変わるか分からなかった。これは、恐らくラオンには、大きな弱点だった。自分が女人と言う事実を知られた日には、耐えられない程の深刻な事態になるかもしれない。単に自分の首一つが飛ぶくらいでは終わらないだろう。不本意ではあったが、欺いたことになった嚴公(オムコン)お爺さんにまで、次々と相次ぐ身内から葬儀を出すこと(チュルチョサン)は免れないだろう。
そんなわけにはいかない。
ラオンが頭を振った。花草書生(ファッチョソセン)との関係、この辺で確実に終わりにしてこそ、後腐れもないでしょう。何かいい言い訳はないかしら。周囲をきょろきょろと、見回していたラオンの目に、ちょうど、草むらをザクザクとかき分けて来るビョンヨンが見えた。
キム・ヒョン、どうしてここに来られたのですか?
気にはなったが、今重要なのは、それではなかった。大事なのは、怠惰の代名詞と呼ばれても全然おかしくないビョンヨンが、今、この場に、まさに、必要な時間に、現れたという点だ。
ラオンは、花草書生を追い払う呆れた方法を思いついた。なので、心の中で思わず歓声をあげつつも、深刻な表情を続ける努力をした。
「いくら考えても、尋常ではありません。」
「何が?」
ラオンがヨンを見上げながら答えた。
「私たち二人、しきりに出会うところを見ると、縁も普通の縁じゃないようです。」
「縁?悪縁じゃなく?」
「悪縁も縁でしょう。」
ラオンが憂愁に満ちた目で言葉を続けた。
「もしかすると、私たちは前世で夫婦だったのかもしれません。」
「急にそれはどういうことだ?」
コイツがまた、どんなことをしでかすためにこんなことを言い始めたのか。
ヨンは、期待半分、好奇心が半分の混じった顔で、ラオンをじっと見た。
「たわごとではありません。初めて見た瞬間、ぴったりと合う感じがしました。この人、どこか知っていると。」
「私は全く知らなかった。」
ヨンの断固とした答えに、ラオンが首を振った。
「無理に否定しないでください。確かに感じていらっしゃったことでしょう。」
当然でしょう。ましてや、ここまで追いかけてこられたのではないですか。
ラオンは、感情をもっともっと高めつつ、言葉を続けた。
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「もしかすると、私たちは前世で夫婦だったのかもしれません。
たわごとではありません。初めて見た瞬間、ぴったりと合う感じがしました。この人、どこか知っていると。」
「私は全く知らなかった。」
やれやれ・・・
突拍子もないラオンの行動。。。
ラオン(笑)何考えてるんでしょうね(笑)
花草書生を追い払う、呆れた方法って・・・