洪景来(ホン・ギョンネ)の乱 | のあのあlife

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『雲が描いた月明かり(구르미 그린 달빛)』に史上最強にどハマリしてしまい♡2017年も自分の勉強兼ねて原作小説を翻訳しつつ、パク・ボゴム君とキム・ユジョンちゃんのボユカップル、密かに熱烈に応援中です~♡(笑)
2021年4月、またこのブログ再開します☆

李氏朝鮮では、古くから身分制度があった。

士農工商、日本でも、江戸時代まであったものだが、
 事さらに、李氏朝鮮の身分制度は、本来頑なに厳しいものだった。

(今回はホン・ギョンネの乱を深めるため、身分制度を触りだけ~☆
しかも調べたのも偏りがあるかもしれないので、参考程度で、役立てたらなと。お願いします♪)

사농공상(サノンコンサン)李氏朝鮮の士農工商。

ほぼ、使われていなかった言葉らしいが、
一般的には、日本と同じ、4つの身分で別れていた。
(朝鮮時代の文献では、2種、3種と記載されていることもあり、両班、常人、賎人の3種類という説もある。)

両班(ヤンバン:양반)、中人(チュンイン:중인)、常人(ヤンイン:양인)、賎人(チョンイン:천인)
の、身分的な壁。これを厳守し、取り締まることで、社会的秩序を保っていたと言われる。

史劇ドラマなどで有名な
両班ヤンバン:양반
両班を、士大夫(サデブ:사대부)と言うこともあるが、官僚としての位が、5品以下の官吏である「士」と4品以上の官吏である「大夫」を合わせたもので、両班の中でも、特に地位の高い者たちを指す。
ラオンとヨン
↑よくドラマで見る両班の恰好(注:ヨンは世子、ラオンは逆賊で身分は特に表記されていません)

支配階級である両班
文班(ムンバン:문반 =東班:トンバン:동반 )と
武班(ムバン:무반 = 西班:ソバン:서반)の両方をあわせた総称。

両班は、中央集権国家として、王を中心に国を動かす政治的な面だけを行う身分であり、
働くことをよしとせず、ひたすら儒者としての素質を養うため、幼い頃より勉学に重きを置いた。

これは、科挙(クァゴ:과거)による官吏登用が、この両班身分確定の重要な要素となっていたためであるが、世襲制で、科挙に受かった本人だけではなく、その家族もまた両班階級となることが許された為、家門存続の為にも、何としてでも科挙の合格→要職をしなければならなかった。
(注;表向きは中人も受験資格はあったそうだが、両班身分以外の階級では受けることも許されておらず、またその経済的余裕もなかったため、科挙を受けるのは基本、両班身分だけであった。)

一応の定義は、父、祖父、曽祖父、母方の祖父の中で科挙の合格者で5品以上の官職についたものがいれば、両班となるとされた。

科挙には文科武科があったが、高級官僚の要職を占めた文官は、武官より実質的地位が高いため、文科の試験を受ける資格は武科に比べて両班を中心に制限されていた。

が、それとともに、科挙に受からなければ次第にその権威も廃れていってしまうため、次第に、家門による官僚の世襲が多くなると、没落両班も多くなった。(←これが、ホン・ギョンネの乱にもつながる社会状況☆一部の派閥だけが肥えて、他の派閥は要職すらもらえなくなることになったから)

ちなみに、両班身分を継げるのは、両班同士の間に産まれた子供だけで、両班以外の母から産まれた場合は、庶孼(ソオル:서얼)と言って中人身分とされた。

庶孼は、科挙はもちろん出世も制限され、両班身分としての特権は受けられなかった(←『太陽を抱く月』の雲。余談☆王の子であってもその差は大きく、基本的な身分は母親の身分によるものなので、有名な英祖は、母が賎人身分であったため、差別も多く、反対も多かった。)

 
さて。両班と一言で言っても、王の政権を危ぶませるほど、力を持つ派閥が出てきたことにより、両班同士の間にも、その差が大きくなったという部分。


このドラマでも出てくる、安東金氏(アンドンキムシ)のような実力者がまさにそれに当たる。

朝廷は王を中心だとしながらも、その実権は両班であるはずの官僚一族が持つというこの構造は、中殿や朝廷権力者の地縁・血縁者が、官僚クラスに登用されることが多いという、正規の科挙の成績云々ではない現実があった為、徐々に大きくなっていったと言える。

そのため、上記のような、官職を買ったり、逆に、科挙に家門から出ることができず、お金に困ってその地位を売ったり・・という、社会問題が起こるようになる。(今回は触れないけど、もちろんこれから、中人が、お金で身分を両班にしたり、時代の流れと共にこの身分制度も、崩壊していくことになる。←『成均館スキャンダル』ク・ヨンハ。)


(구르미 그린 달빛 ep12 (その2)より)
「そなたに金を払い、官職を買った者たちの名簿だ。」

この部分が、まさにその現実ですね~☆
***

さて。本題。

このように、同じ両班だけでも官僚になる一族と、そうでなく起用されない派閥が出てきた時代。

不安定な政情が続く仲で、1811年に起きた農民・民衆の乱が、まさに『洪景来(ホン・ギョンネ)の乱』だ。

洪景来(ホン・ギョンネ、1779~1812)は、平安道出身で、身分は両班であったが、役職に就けずに没落した両班だった。

(구르미 그린 달빛 ep13 (その4)より)↑ここにも、よく見ると、平安道って書かれてますよね☆


「年齢が十八位で、混乱で母親と別れる前までは、平安道(ピョンアンド)で暮らしていたということです。
幼い時、ホン・ギョンネが娘に付けた名が、ホン・ラオン。」
イギョのセリフにもありました☆


平安道。ここは鉱山が多く、義州商人、平壌商人など対外貿易を通じて大商人に成長した者が少なくなかった。
彼らの中には財力を基に郷任層に上がった者も少なくなかったため、経済的に見ると他の地方に比べて先に進んでいたし、両班勢力も微弱だった。

しかしそういう経済的先進性が、むしろ中央政府の収奪の対象になった。
両班には品階に従って俸禄の他に土地が支給されたが、このような地方で官職につけない両班や品階が低い者は、働けない身分の為、次第にどんどんと、廃れていくしかなかった。



「百姓たちは(民は)不徳な官吏たちの不正により、
死んだ者でさえ、税金を納めなければならないというのに

この国の根元だと自称する士大夫たちがどうしてこの程度のことで
不平を態度に現すことができようか。

いったいそんなことでそなたたちが本当に、国の禄を食む資格があるというのか!!」

ヨンも言うように、一部の中心的派閥の両班が富むためにどんどん地方からの収奪などが行われる。地方だから国にも問題視されることがない・・。ヨンみたいなこと言ってくれる世子もこの当時はいなかったわけだし。(ヨンは実在する人物ですが、忠実では代理聴政後3年で亡くなり、そんな権限も大きくはなかったようです)


**
『洪景来(ホン・ギョンネ)の乱』は、勢道政権を打倒し、地方差別を受けていた平安道の人々の不平等をなくすために、立ち上がった運動で、「平安道農民戦争」とも言われる。

地師(葬地を占う)を業とし,各地を放浪しながら同志を糾合して蜂起の準備に10年間という長年をかけて準備し、平安道出身者に対する差別の打破,幼王の外戚や姻戚らによる専権政治反対を内容とする檄文を発し,中央政府の打倒をよびかけた。

同志1千余名と挙兵し、
あっという間に清川江以北の9邑を占領。

しかし、博川の松林戦闘で官軍に敗れ、定州城に入って3か月にわたって抵抗したが城が陥落、ホン・ギョンネは銃弾に倒れ、約半年で乱は失敗に終わる。

しかし、この乱をきっかけに政権の腐敗と無能さを世に暴露し、民衆の力でも封建体制を否定で
きるのだと言うことを知らしめた。

この後、1862年には「壬戌民乱」、1884年には甲午農民戦争(東学党の乱)などの農民の乱が起きる。

と、忠実では、こんな感じです・・。



「働ける田畑があって、
お腹がすいたら、食べるご飯があって、

夜になったら、眠れる家があって・・

それが、全部だったの。お前のアボジが望んだものはね。」

この、『働ける田畑』という部分が、両班としてこの先ラオンがその身分を戻してもらえるならいいなという希望に反し、気になるんですが・・

16話で、ホン・ギョンネ(ネタバレですが皆見られてますよね?すみません・・。)が、ヨンに言います。
「私たちが求めているものは、単なる民の為の政治ではないのです。

民による、政治でしょう。
あなたのように天から降りてきた王は、自身が太陽だと思っていらっしゃるでしょう。
絶対的に輝く存在。

しかし、民から出た王は違う。」
ヨン「何が違うのだ?」
ギョンネ「自分と民(百姓たち:身分制度で賎人)を、同じだと考えるでしょう。
    人間だと・・。」

ギョンネ「人間が、人間になることを夢見る。とてもおかしくはありませんか?」
ヨン「ではなぜ、その方法が、王をなくすことしかないと考えるのか?」
ギョンネ「自ら進んで、王座を降りる王など、いないから。
   あなたと私。両班と奴婢。女と男。
    逆賊の子供と、王族の子孫。

  この者たちが、同等の存在であることを
   あなたが王になれば、許すことができますか?」

この時代。しかも選ばれた世子として生きてきて、考えたこともないでしょうし、
両班や身分の特別階級制度におけるこの朝鮮では、かなり危険分子なのは間違いないでしょう。

16話で、尋問にかけられ、最後斬首を言い渡されながらも、
  ばたばたのうちに(これはまた後々の小説風であらすじ訳で・・(笑))終わっちゃいましたが、

このホンギョンネの乱の存在が、最後どうまとめられるのかも、見ものですね!!
最初は超ぶーぶー言ってたんですがね(笑)
1度見て、2度見て、3度見ると、見方が変わってきました。不思議です!!


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구르미 그린 달빛 ep14 (その2)
サダンペの注意書きしようとして忘れてたので、追記で。

「幼い時、寺党牌(サダンペ*1)についてあちこち回ったんですが、
私は地方によって、月の形が違うんだと思っていました。」

寺堂牌(サダンペ)とは、朝鮮王朝時代の旅芸人、大道芸人たちのこと。
初期の寺堂牌は、卑賤の女性たちの集団で、酒宴の席で歌舞を売り、宴会が終わると、売春を副業としたが、次第に男性だけの寺堂牌と化していった。


最初のころにラオンが世子役をしていた大道芸が、まさにそれだと思います☆

ただ、寺堂牌(サダンペ)は身分では、賎人階級。ヨンが、ラオンがそうだと言っているも同じなのに、何も言わず、何も感じず、ただ、
「泊るところがそんなに頻繁に移りながら、暮らしていたのか?」とだけ、思いやるっていうのは、やはりすごいラオンのことを、本当に愛しちゃってるんだなって(恋慕しちゃってるんだなって)思いましたよ!

16話で、ラオン父には即答できてなかったけど、
14話では「私はお前よりももっと馬鹿だった。」なんて言えちゃってるので・・

やっぱり、この父とヨン、分かり合えると信じてます!!!!


ではでは!!15話続き訳して明日にはアップできるよう頑張ります~☆