出会いはどんなところで?
景色が右から左へ流れてゆく。
風は冷たそうだけれど、晴れている。
飛び乗った電車には、話の内容から、
定年を迎えて共通の趣味を見つけようと出かけたのだろうか、
旅慣れてるとは思えない大きな荷物と手土産を持った老夫婦や、
明らかに年の離れたカップル。
女の方始終マスカラの具合を鏡で確かめている。
男は彼女のご機嫌をとろうと必死の様子。
また窓の外に視線を戻し遠くを眺めていると、彼との事を思い出した。
杉本雄司とは、2年前の今日、友達の結婚式で出会った。
200人くらいは集まっているだろうか。
近頃のサラリーマンにしては少し華やかだった。
花嫁の坂上奈津子は真面目でおとなしく、社内でもあまり目立たないほうだが、
人あたりもよく、痒いところにてが届く女の子として密かに人気を集めていたらしい。
彼女は私の同期で入社以来、仲良くしている。
彼女の旦那様は、スポーツマンで、エリートコース一直線といった感じのタイプ。
プライドは高そうで、私なら絶対好きになれないタイプだ。
雄司はその旦那の友達である。
私は、昔から人付き合いは苦手、それなりに年を重ねてきてかなりカバーできている様な
気がしているが、初対面で誰かと話す時は、いまだに掌から足の裏まで汗をかいてしまう始末だ。
できるだけ隅の方の席に座ろうと、そろそろと歩いていると、愛子に呼び止められた。
「美香、また悪い癖ね、端の方へ端の方へ行こうとする。たまには中央に近い席に座っててよね。
私も司会すごく緊張してるんだから、助けると思って、ね、お願い。」
愛子のウィンク攻撃には老若男女問わず、誰もが「はい。」と返事をしてしまうだろう。
彼女はそういう魅力を持った人だ。 草壁愛子は、女子アナにいそうなタイプの美人。
細身で黒目がちな瞳、栗色の上品な巻き髪。
私も美容や健康といったことは、彼女にかなりの影響を受けている。
サプリメントやエステ、温泉や自然食品。ひょっとしたら
本を出版できてしまうのではと思うほど彼女は詳しい。
「ここ、いいですか?」新郎の友達が同じテーブルに寄ってきた。
「ええ、いいですよ。」
「新婦さんのお友達って、みんな綺麗な人ばかりですね。」
「ありがとう。」と笑顔。
ここからが続かない。お話が上手じゃないのよね、私。
この新郎の友人の一人にいたのが、雄司だ。
携帯で電話をしていた彼が、ドアを開けた瞬間、私は私の中の何かがはじけるような気がしたのだ。
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みなさんはどんな所で、どんな瞬間に人を好きになりますか?
まず友達になってから?友達になる前にじっくり観察派?
異性のどんなところに惹かれますか?