朝の5時。
空を見上げると、東の空にオリオン座、西の空にはまんまるい月が輝いていた。
私の家は四方を山に囲まれていて、見上げる空は少々せまい。
だけどスマホのカメラで撮ろうとしても、この光景を画角に収めることは出来ない。
星と月。
その真ん中に立つ私。
もしも私が画家だったら、この景色を描くことが出来ただろうか。
もしも私が詩人だったら、この景色を言葉で綴ることが出来ただろうか。
結局のところ、私は誰にも伝えることは出来ないのかもしれない。
この景色の美しさを。
私の感情を。
私の思考を。
私の記憶を。
私の空想を。
私の中の宇宙を、誰にも分けてあげることは出来ない。
それは少しさみしくて、せつなくて、でも何だか愛おしい。
私の小さな世界。
私の見上げる空は、小さくて狭いけど。
だけど、空は果てしなく広がっていて、どこかにつながっていて、誰かが私と同じように、
空を見上げているのかもしれない。