成長中のスタートアップこそ「組織のあるべき姿」をAIと考える
あるスタートアップの経営者から相談。
「社員が30人を超えたあたりから、組織がうまく回らなくなってきた」と言う話です。
創業期は、全員が何でもやる。阿吽の呼吸で動ける。
しかし、人数が増えてくると、「誰が何を担当するのか」「どこまでが誰の責任なのか」が曖昧になってくる。
これは、成長中のスタートアップ・ベンチャー企業が必ず直面する壁です。
今回は、この「組織の壁」をAIと一緒に考えると言うアプローチを紹介します。
なぜスタートアップは「組織的に動けない」のか
まず、なぜスタートアップは組織的に動けないことが多いのか?
理由はいくつかあります。
1. スピード優先で走ってきた
創業期は、とにかくスピードが命。組織体制を整える余裕がないまま成長してきた会社が多いです。
2. 「なんとなく」で役割分担してきた
「あの人が得意だから」「手が空いているから」と言う理由で、役割が決まってきた。明確な設計がないのです。
3. 経営者自身が組織づくりの経験がない
プロダクト開発や営業は得意でも、組織設計の経験がない経営者は多いです。
4. 相談できる人がいない
組織の悩みは、社内のメンバーには相談しにくい。外部のコンサルタントを雇う余裕もない。
結果として、「なんとなく回っているけど、どこかおかしい」と言う状態が続いてしまうのです。
AIに「組織のあるべき姿」を壁打ちする
ここで活用したいのが、AIとの壁打ちです。
ChatGPTやClaudeなどのAIは、組織設計についても豊富な知識を持っています。
もちろん、AIは「あなたの会社の事情」を知りません。
しかし、「一般的な組織のあるべき姿」を提示してもらうことはできます。
例えば、こんなプロンプトを試してみてください。
「社員30人規模のスタートアップの一般的な組織構成を教えてください」
「この規模の会社で必要な役職や役割分担は何ですか」
「成長フェーズごとに、組織はどう変化させるべきですか」
AIから「一般論」を聞くことで、自社の現状との「ギャップ」が見えてくるのです。
具体的なAI活用の流れ
では、具体的にどう進めれば良いのか?
おすすめの流れを紹介します。
ステップ1:現状の組織図をAIに説明する
「今、うちの会社はこんな体制です」と、現状を伝えます。役職、人数、担当業務などを簡単に説明するだけでOKです。
ステップ2:一般的な組織構成を聞く
「同規模・同業種の会社では、一般的にどんな組織構成が多いですか」と聞いてみます。
ステップ3:自社との違いを分析してもらう
「うちの現状と一般的な組織の違いは何ですか。問題点があれば指摘してください」と聞きます。
ステップ4:改善案を出してもらう
「この課題を解決するために、どんな組織変更が考えられますか」と聞きます。
ステップ5:反対意見や懸念点を確認する
前回の記事でも書きましたが、「この案の問題点や抜け落ちている視点はありますか」と確認することが重要です。
AIが出してくれる「気づき」の例
実際にAIと壁打ちすると、こんな気づきが得られることがあります。
「マネージャー層が足りていないのでは?」
社員が増えても、中間管理職がいないと、経営者がすべてを見ることになります。
「兼務が多すぎるのでは?」
一人が複数の役割を持ちすぎると、どこかで限界が来ます。
「評価制度がないと、役職を作っても機能しないのでは?」
組織図だけ作っても、評価や報酬の仕組みがないと形骸化します。
「この規模なら、そろそろ人事専任者が必要では?」
採用・労務・評価などを片手間でやっていると、組織の問題が放置されがちです。
こう言った指摘は、自分一人で考えていると見落としがちなものです。
AIはあくまで「壁打ち相手」
ただし、重要な注意点があります。
AIが出す答えは「一般論」であり、あなたの会社の事情をすべて理解しているわけではありません。
社員の個性、会社のカルチャー、事業の特性など、AIには分からないことがたくさんあります。
AIは、「考えるきっかけ」を与えてくれる壁打ち相手として活用するのが正しい使い方です。
最終的な判断は、必ず経営者自身が行う。
そして、重要な組織変更は、信頼できる社内メンバーや外部の専門家とも相談した上で進める。
この順番を間違えないことが大切です。
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※スタートアップ・ベンチャー企業の売上10億円、30億円、100億円の「成長の壁」を突破し、上場準備(IPO)へ。「マーケティング」「資金調達・資金繰り」「組織化・構造化」をバランス良く経営する「経営の見える化」(MVメソッド)を活用する経営マエストロのブログです。
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