軌跡~先輩と過ごした日々~

軌跡~先輩と過ごした日々~

先輩。

ずっと好きです。

ずっと好きでした。

たとえ先輩が他の誰かを想っていたとしても・・・

私は先輩を愛し抜きます。

○登場人物。

・片桐恵美(かたぎりめぐみ)


・新城篤(しんじょうあつし)


・前原美々(まえはらみみ)


・水瀬輝希(みなせこうき)

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止む事のない雨。


雨が止まないから、今日の体育は中止だ。


私は、深いため息をついた。


ため息をついたのは、雨のせいじゃない・・・。










「恵美~!会いに来てやったぜ!」


廊下から聞こえる明るい声。


私の嫌いな声。


苦手で苦手で・・・私の世界を狂わせるその声。


私は無視してるけど、無視するとこっちまでわざわざ来る。


そういう所も、苛々してしょうがない。










「無視すんなよ!」


その人は、また今日もここに来る。


来ないでよ・・・あっち行って・・・。


そういっても、どうせ聞いてくれないと思うけど・・・。


「・・・・しつこいよ・・・」


私は、それだけ言って教室を出ようとした。


この人といると、落ち着かないの。


彼は、ある日急に私に話しかけてきたの。


そう、ちょうど先輩が告白されたあの日・・・。

「篤~、何買ってくれるの?」


「ん・・・、陽菜が食べたいのだったら何でもいいよ。」


「やったぁ!ありがとう篤!」


決して響いてはいない会話。


でも、私の耳には何よりも大きく聞こえる。











「・・・恵美・・・、あれって・・・・・」


美々ちゃんの声が少しだけ高くなった。


「うん・・・・・」


先輩・・・。と、たぶん先輩の彼女。


「ひなって呼んでたね・・・」


私は頬笑みながら美々ちゃんにそう言った。


幸せそうに笑う先輩。


その隣で、頬を染める先輩?


2人は、お互い笑いあって廊下を歩く。












「美々ちゃん・・・、早く教室もどろ・・・」


「・・・・え?」


私は美々ちゃんの裾を掴みながら、そう強請る。


美々ちゃんは渋々頷きながら、もと来た道を戻る。


涙は流さない。


だって、もうなれたから・・・。


傷つくことに・・・。

「お昼何食べる?」


美々ちゃんと歩くお昼の廊下。


少し湿ってて、昨年の今も寒気がする事に変わりはない。


「うーん・・・今日も焼きそばパンかな・・・!」


私は笑顔でそういう。











焼きそばパンって、他のパンに比べて少し脂がしつこいと思う。


それに食べにくい。


普通のメロンパンとか・・・、そういうパンの方が圧倒的に食べやすい。


でも、私が焼きそばパンにこだわる理由は・・・、


先輩の好物だから・・・。


昔、私の隣で嬉しそうに持つそのパン。


ずっと美味い美味いって・・・笑顔で食べ続けてた。


だから、私も好きになりたいって思ったの。


先輩が好きだから・・・・。










美々ちゃんと向かったのは、屋上へ繋がる階段。


天気がいい時は、屋上で食べてた。


今日は、とても屋上じゃ食べられない。


「・・・、恵美ってさ・・・いつも焼きそばパン美味しくなさそうに食べてるけど・・・美味しいの?」


焼きそばパンを小さく小さく食べる私を見ながら不思議そうに尋ねた。


「うーん・・・、美味しい!・・・・とはいえない、」


私は小さく微笑んで、また食べ始めた。

だれも開けられない蓋。


この蓋を開けられるのは、私じゃない。


先輩、ただ1人なの。











「今日、ひどい雨だね。」


友達の美々ちゃんが窓を見ながらそう言った。


お昼2時なのに夜みたいに暗い空。


窓に当たる強い雨、たまに空を彩る雷。


今は6月、梅雨時期の真っ最中。


みんなはこの雨を嫌いと言うけど、私はこの雨が好きだ。


ずっと、一生降っててほしい。


あの日の記憶を、掻き消してほしいから・・・。












『私ね・・・、篤が好きなの!』


その日は、今からちょうど1年前くらい・・・。


少し寒気のする廊下に響いた高い声。


『篤・・・私ね・・・、ずっとすきだったの・・・』


少し震えたその声・・・。


『・・・俺も・・・、』


照れくさくいう先輩を見た瞬間、私は廊下を駆け抜けて学校を飛び出した。


そして、どしゃ降りの中傘もささずに私は・・・泣き叫んだ。

片桐恵美(かたぎりめぐみ)


高校1年生、バスケ部所属。










陽気なのが取り柄で、目立つ事が苦手。


得意な事は作り笑顔で、どんなに辛い事だって笑っていられる。


成績はすごく悪くて、自信を持てるのは身体能力のみ。


基本はダラダラ。いつもめんどくさいことから逃げている私。










そんな私でも、好きな人はいる。


今3年生の先輩。


その先輩は私の幼馴染で、割と関係性はある。


でも、高校に上がってからは全くしゃべらなくなった。


綺麗な茶髪と一緒で、瞳の色も綺麗な茶色。


身長は、私と頭1個分は違うと思う。


気遣いが合って、優しくて、頼りになって・・・・。


私はそんな先輩が大好きなの。











だから、先輩に好きな人が出来た時はビックリした。


『俺さ・・・、好きな奴出来たんだ。』


そういう割には照れくささもなくて・・・・。


なんで私にそう言ったのかは分からなかった。


ただ、〝幼なじみ〟だから・・・。


もう無駄な恋心。


でも、私の初恋は簡単には消えてくれない。


なら、叶わなくても一途に想い続けれない良いと思う。


想うだけなら許されますよね?先輩。