自由になりたくて、自由を求めて実家を出ました。
何も考えずに都会へ出てきて、一人暮らしを始めました。
でも結局、何も自由になんかなってない。
よく考えてみれば、実家にいた時から別に何も不自由なんかしてなかった。
私は、何がしたかったのかな…。
ただ漠然と「自由になりたい」なんて言ってたけど、私が求めてる「自由」って結局なんだろう…。
温かい職場に恵まれて、2年半勤めていた職場を辞めました。
自立の為の上京でした。
みんなから退職祝いまで貰って、温かい言葉で送り出されました。
なのに、私はここへ来て何を得たのでしょう。
決して裕福ではない家庭。
そんな中でも掛け持ちでバイトをして、コツコツ上京資金を貯めました。
でも、私がこの上京の為に遣ったお金は、無駄だったんじゃないかって。
このお金があれば、少しは家族の為になったかもしれない。
何も得ず、何も成長せずに帰ったら、家族に顔向けできない。
家族と言っても、母と私の二人暮らしなのですが。
元々実家でも、母は夜勤のある仕事のため一人で過ごすことも多かったからか、一人暮らしを始めても寂しさというものは感じません。
でも、電話をかけてくる母はいつも泣いています。
独りは寂しいと、泣いています。
なので私は、なるべく電話ではなくメールで用件を伝えるようにしています。
私の声を聞くと、涙が止まらなくなってしまうというので。
でもふと、あの家で毎日一人で過ごす母を思い浮かべてみたら、とても居た堪れない気持ちになるのです。
だって母には、私しかいないのですから。
ずっと母と私、二人三脚で支えあいながら生きてきました。
そんな母に寂しい思いをさせてまで、ここにいる必要があるのかな…。
『いつでも帰ってきていいんだからね。』
『頑張りすぎなくていいんだからね。』
毎日送られてくる母からのメールの最後に、必ず添えられる言葉です。
私は、なんて親不孝者なんだ。