会社で人事給与部門にいることもあり、同僚から確定申告について相談を受けることがあります。
我が社は副業禁止。みな1箇所の会社からしか給与を受けていない典型的なサラリーマンなので、基本的には年末調整で所得税の精算が完結するため、確定申告の必要はありません。
そういう人が確定申告をするのは、自然と医療費控除などで還付を受ける場合になります。毎年やるとは限らない分、難しく感じるのでしょう。
ここで誤解が多いのは、還付申告を「2月16日から3月15日までにやらないといけない」と思い込んでいること。
確かに、駅に貼ってあるポスターにも「3月15日(木)まで」って書いてあるし、自分から情報を取りに行かないと知ることは無いのかもしれませんね。
計算の結果(=確定申告書を作成した結果)、追加で所得税を納めなければならない金額がある場合には、法定期日までに確定申告をする必要があります。ちなみに、「申告」するだけでなく、実際に不足額の納付まで終わらせないといけません。
しかし、納めるのではなく、逆に還付になる場合は、翌年の1月1日から5年間申告を行うことができます。例えば、平成29(2017)年分であれば、平成30(2018)年1月1日から2022年12月31日までできます。
国税庁ホームページで参考になるページをいくつかピックアップしましたので、ぜひ御覧ください。やはり、素人のブログ記事よりも公式の情報を見るべきですからね。
上記の参考リンクを読みながら、冒頭で述べたような「普通のサラリーマンが、医療費控除などにより還付を受ける場合」の申告期間を説明しますと、次のようになります。
- 確定申告は翌年の2月16日から3月15日までに行わなければならない(所得税法第120条 確定所得申告)
- しかし、会社の年末調整で所得税額の精算が終わっているなど、一定の条件に当てはまる場合は、確定申告をする必要はない(所得税法第121条 確定所得申告を要しない場合)
- 医療費控除などにより「還付」になる場合には、確定申告書が「法第122条《還付等を受けるための申告》の規定により提出された申告書」(還付申告書)として扱われる(所得税基本通達121-1 確定所得申告を要しない者から提出された確定申告書)
- この「還付申告書」には提出期限が定められていないため、その暦年が終了した時点から(翌年の1月1日から)、いつでも申告することができる。
- ただし、還付の請求権は5年間行使しないと、時効により消滅する(国税通則法第74条 還付金等の消滅時効)
- 簡単にまとめると、「還付申告は、翌年1月1日から5年間できる。2月16日~3月15日にこだわる必要はない」。
「時間が無い」と言われては、相談された側としては何ともいいようがありません。「時間を作っていただくしか・・・」とお答えするほかありません。
しかし、時間は5年先まであります。休日の半日くらい使えばできると思います。複雑なものでなければ、国税庁の申告書作成システムを使えば十分できると思います。
提出方法ですが、必ずしも税務署が開いている時間に持参する必要はありません。
税務署が開いていない時間だったら、税務署の外に「時間外収受箱」というポストが設置してありますので、申告書類を封筒にいれて投函することができます。
郵送で提出することもできます。国税庁のシステムで申告書を作成した場合には、ご丁寧に宛名ラベルも印刷されますので、それを封筒に貼り付けて、通勤時に郵便ポストに投函すればOKです。
e-Taxでの電子申請もできます。私も今年初めてやりました。これはちょっと敷居が高いかもしれません。また、ネットで個人情報を送信することに抵抗がある方も多いでしょう。興味のある方はどうぞ、という感じです。
この方は、平成25年に寄附をされたとの事例でした。平成30年中なら大丈夫です。間に合ってよかったですね。
しかし、寄附金控除には、その領収書等を添付する必要があります。それが手元にないようだったので、寄付先に連絡してみるよう助言しました。
前述のとおり、還付申告の場合は、3月15日にこだわる必要はありません。この方にも複数回そのように伝えているのですが、信じてもらえませんでした・・・。
まぁ、「間に合ってよかった」と心底安心していたので、それはそれで良しとしましょう。
ちなみに郵送の場合、提出日がどうなるかこれまで知りませんでしたが、上記参考リンク1に「通信日付印により表示された日が提出日になります」とありました。勉強になります。
(でも、もし納付額がある場合には、申告書の提出日が3月15日になったところで、「納付」も同日までにやらなきゃいけないので要注意ですね。)