高校の女性教師の裁判をきっかけに、「旧姓使用」が話題になっていますね。

 私の職場でも、人事・給与を扱う部署に届け出れば旧姓使用OKになっています。これが時代の流れだと個人的には感じていたので、東京地裁の判決は意外でした。


 私はまさにその届け出を受ける部署におります。
 個人的には、旧姓を使いたければ使ってという考えです。
 最近は様々な理由から希望する人も増えてきたので、むしろこちらから「届け出れば、旧姓使用もできますけど、どうしますか?」と聞いてしまうくらいです。あとから「実は・・・」と言ってこられる方がお互い手間がかかってしまうので。

 ただ、事務的な負担が多少増えることは確かです。1人の社員に対し2つの名前、いわば表の名前(旧姓)と裏の名前(戸籍姓)がある状態になりますから、適切に使い分ける必要が生じます。

 旧姓のみ把握していればいいのでは、というわけにはいきません。どうしても戸籍名を使用しなければならない場面はあります。例えば、税務署へ提出する調書や、社会保険・年金関係の書類などです。

 この書類は旧姓OK、この書類は戸籍名じゃないとだめ、と判断していくわけです。人事異動等により担当者が代わるときは、よく引き継いでおく必要があります。そうしないと、「旧姓使用の届け出をしているのに、戸籍名で書かれた(呼ばれた)。名前が変わったことは誰にも言っていなかったのにバレてしまった」などというトラブルになってしまう可能性があります。


 社員証も旧姓使用できることにしていますが、実際に起こった問題は「外部への身分証明として使えなくなる」ということです。

 いろいろな場面で、社員証を身分を証明する書類の一つとして使用できます(多くは、複数の書類を組み合わせて証明することになりますが)。

 旧姓使用を認めてもらっている、と説明しても受け入れてもらえずに、事務へ相談にきたわけです。このケースでは、別途書面で在職証明を(戸籍姓で)発行して対応しました。


 エクセルデータのなかをどれだけ検索しても氏名がヒットしない、そのうち「あぁ、このデータは戸籍名で作ってあるのか」と気付く、いうのはたびたびあります。旧姓を戸籍姓に、戸籍姓を旧姓に、という置換作業は頻繁に発生します。
 このあたりは我が社のデータの作り方にも問題がありますね。


 「そういう面倒なことをやるのが事務の仕事だろ」。 はい、その通りです。頑張ります。


 旧姓使用を希望する方も、「できることなら使いたい」というくらいの人もいれば、「新姓で呼ばれるのは耐えられない」というくらいの方もいらっしゃいます。

 その度合いは人それぞれです。


 報道によると、政府は住民票やパスポートなどでも旧姓を使用したり併記したりできるようにしたりと、拡大の方針を取っているようです。
 どんどん「氏名」制度が複雑になっていきますねぇ。

 氏名による個人特定が難しくなりますから、どうしても「数字(番号)で管理する」という方向へ大きく傾いていくはずです。

 しかし皆さん、マイナンバーへの不信感は非常に強いのであります。