<松岡圭祐小説を時系列順に読もう~その7~>

松岡圭祐『カウンセラー 完全版』(角川文庫)

 この作品は『千里眼 運命の暗示 完全版』より後、『千里眼の瞳 完全版』より前という位置になります。『千里眼の復讐』とどちらを先に読もうかというところですが、本作を先に読むことにしました。

・この作品の朝比奈宏美と倉石勝正には違和感があります。嵯峨敏也と朝比奈の距離感も不自然だし、倉石は年齢も見た目も変わってしまっています。小学館版を読めば違和感の理由がわかります。
・紺賀寛和のルビは、旧作では「このが」でしたが、本作では「こんが」となっています。
・嵯峨が「うちの姉のピアノも」と発言します。嵯峨に姉がいるという言及はこの部分のみだと思います。本当に姉がいるという設定なのか、響野由佳里との会話のための方便なのか。どちらでしょう。
・臨床心理士のことを「先生」と呼ぶのは一般的なのでしょうか。医師、歯科医師を先生と呼ぶのは違和感ありませんが、看護師、歯科衛生士を先生とはあまり呼ばないと思います。いや、でも税理士や公認会計士のことを先生と呼んでいる場面は見たことがあるな。弁護士もそうだ。うーん、どうでもいいか。
・大川詩音という臨床心理士が登場します。東京カウンセリング心理センターに勤務する臨床心理士で、嵯峨と親しげな謎の人物です。本作にしか登場しません。
・嵯峨が「正常ではない」という言葉を使います。嵯峨にしては珍しい発言です。
・響野が集流基久の演奏を聴いて論評するシーン、いいですねぇ。よくできてます。
・私の脳内では、響野由佳里は女優「吉瀬美智子」さんのイメージでした。実写化するとしたらピッタリだと思います。