　日本の目指すひとつのお手本としてドイツがあると書いた。正式にはドイツ連邦共和国である。

　２１００年に日本の人口は８０００万人を維持することが日本が継続できる最低の条件であるとされたが、ドイツの人口は８３００万人である。国土面積はほぼ日本と同じである。ただ国土にほとんどは平地であり、山国である日本とは事情が違う。ドイツは１６の州から成り立っている。首都であるベルリンでも人口は４００万人程度、あとはハンブルグ、ミュンヘンが２００万人までない。

　つまり、日本のように政治も経済も教育も東京に一極集中しているということはなく、札幌や仙台、福岡クラスが大都市であり、全土にまたがって人口が平均的に分散しているのが特徴である。このためには、職業も全土に散らばる必要があるが、それぞれ世界的に名前の通った中堅製造業が各州に分散している。私たちが名前と知っているだけでも、自動車はBMW,メルセデスベンツベンツ、フォルクスワーゲン、光学機械のツアイス、化学・薬品のバイエル、ベーリンガー・インゲルハイムなどである。

　州の権限はかなり大きく、大学も州立である。日本では地方に能力のある人材がいないので、地域には大きなことは任せられないという意見もあるが、官僚は東大というように明治以来、近代化のために中央集権国家を目指して進んできたのでやむを得ないところもあるが、そろそろ大きな方向転換をすべきときではないだろうか。すでにGDPはこのドイツにも逆転されたいう意味をもう少し反省すべきだろうと思う。

　もちろん、歴史、人種、宗教、文化などは日本と全く異なる国であるからそのままお手本というわけにはいかないが、

このままでは地方自治体が消滅すると警告されているいまこそ戦略的大転換を考えなければならない。

　ドイツには友人がいたので過去５回ぐらいドイツ中を旅した。どこの街へ行っても楽しかったが、マインツのライン川ほとりのノイシュタットにある多くのレストランで中年のカップルが何組もダンスに興じていた風景とかミュンヘンの体育館のようなビャホールで大ジョッキを飲んだことが忘れられない。

終焉のたわごと（３２） お手本国

終焉のたわごと（３２）　お手本国