[ダムめぐり] 渡良瀬遊水地~日本最大の遊水地~ | ドリームハウス南蘭得 - 秩父とダムと鉄道と。

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鉄道模型は主に、JR北海道、副都心線系統、横浜市営…。
また、1~2か月に1回程度「秩父紀行」を投稿します(予定)。

広大な草原、遠くに見える山々。

北海道の帯広や美瑛に見えなくもないですが、ここは群馬県・栃木県・埼玉県の県境付近にある「渡良瀬遊水地」です。

 

今日で東日本大震災から10年が経ちました。
今年 (2021年) 2月にも、当時を思い出させる規模の大きな地震が久々に起こりましたね。私はバイト帰りの電車内でしたので、線路点検で数十分止まって面倒だなと思ったりしましたが、
家に帰ってテレビを付けると、もはや「見慣れた光景」とも言えてしまうような、物が散乱したり柱が倒壊したりした映像が放映されていて、なぜ同じ地域ばかりがそういう目に合わなければならないのかと、怒りに近い感情を抱きました。


しかし、津波や地震だけではなく、河川の洪水もまた、我々の日常を脅かす恐ろしい自然災害です。

今回紹介するのは、そんな洪水による災害を防ぐ重要な役割を果たしている施設です。

 

スタート地点は東武日光線 板倉東洋大前駅。

デントユーザーお馴染みの南栗橋駅で普通電車に乗り換え、さらに4駅進んだところにあります。

数年前まで浅草と会津を結ぶ快速電車が停車していましたが、今は普通電車ばかりの寂しい駅です。

 

駅前のわたらせ自然館で遊水地の仕組みや生態系について理解を深めつつ、

さらに20分ほど歩いてようやく北エントランスにたどり着きます。

 

この日は天気が悪かったのであまり写真は撮りませんでしたが、ご覧のように広大すぎるヨシ原が広がっています。

 

遊水地としては日本最大の規模で、

湿地としても全国6位で本州最大 (1~5位は北海道) だそうです。

 

全体の地図はこんな感じ。

ハートの形をした谷中湖と、その周りの湿地で成り立っています。

どうでもいいけどもうすぐホワイトデーですね。

 

常時水が溜まっているのは谷中湖の部分だけですが、湿地部分も3か所の調整池に分かれていて、河川増水時は洪水調整に利用されます。

河川と調整池の間に堤防が低くなっている部分があり、増水するとそこから自然に越流して流入する仕組みです (たいていの遊水池はこのシステムですね)。

 

地図を見て分かるように、ここは複数の川が合流する地点 (同じく被害が多い北海道の富良野周辺と形が似ている気がします) ですから、増水時に合流後の下流側、あるいは本川の増水により流入困難となった支流側で氾濫する危険性があります。

そのため、下流側の負担を軽減させるために、合流する手前で遊水地に水を貯めるわけです。

 

実際に周辺の堤防には、カスリーン台風で決壊した地点を示す石碑がいくつか建てられています。

カスリーン台風は昭和22年に関東で大水害を起こした台風の名称で、関東を流れる川の上流にダムを整備するきっかけとなった出来事でもあります。

 

その奥には渡良瀬遊水地の水門が見えます。

今は遊水地が災害から我々を守ってくれているわけです。

 

【 渡良瀬遊水地のプロフィール 】
■河川名 : 利根川水系渡良瀬川
■型式 : ―
■堤高 (高さ) : ―
■堤頂長 (幅) : ―
■総貯水容量 : 2640万 m³
■管理者 : 国土交通省

■着工~完成 : ?
■目的 : 【F】洪水調節 / 【N】河川維持 / 【W】上水道用水
■アクセス :
東武日光線「
板倉東洋大前」駅 から徒歩20分 (北エントランスへの一例)

 

遊水地はこれで終わりですが、同じルートで帰ってもつまらなので、JR古河駅まで歩くことにしました。

この付近は群馬県・栃木県・茨城県・埼玉県の県境が入り乱れているので、

このルートを歩くだけで4県を制覇することができます笑

 

ちなみに、後でGoogle Fitを確認したら14kmも歩いていました。自転車を持参するべきでしたかね。

 

古河駅近くには、古河城跡を始めとした歴史的な施設が残されています。

 

こんな感じの古民家もあります。


なんでこの話題を出したのかというと、この古河城も先ほどの渡良瀬遊水池と関係しているからです。


古河城は明治6年の廃城令によって大部分が解体されたものの、一部はその後も残存していました。

しかし、渡良瀬川改修工事によって、残っていた部分もほとんどが破壊されてしまったようです。


まちづくりは本来、地域の歴史や文化、地元住民の意向を考慮し、それらと「共存」することが最前提で災害対策が進められるものです。

しかし、ダムなどの河川防災は別。八ッ場ダムが長い間揉めていたように、地元の反対を押し切って、街がダム湖に沈んででも半ば強制的に事業を進めなければならないことが度々あります (もちろん普通は補償がありますが)。

我々の生活の安全を守ってくれる土木工事ですが、時には少数の犠牲によって多数の安全が守られているということも、

自然災害が多い我が国で生きる上で知っておかなければなりません。
 

古河駅周辺には他にも博物館や美術館があるので、このエリアだけでも1日潰せそうです。

遊水地の撮影のリベンジも含め、またいつか訪れたいですね。

 

 

今日もご覧いただきありがとうございます。