桜前線に応じて花見の幹事をやる者もあり、日本人の桜好きが多いのは世界的には珍しい現象のようで度々海外のTVでもHANAMIが取り上げられるようになる季節…

花見はしたいが花粉症が辛いとクリニックを訪れる人も多い季節だ。

「和香先生、今年の花粉の患者多いかい?」

長月メディカルクリニック近くに済む初老の男性患者はニコニコとした笑顔で目の前に座る女医・長月和香に聞いた。

「花粉症ねぇ…今年は飛び始めるのが早かったって言うわよねぇ〜」

トンッとエンターキーを押して処方箋依頼をかけ終わると和香は椅子を回転させて男性患者の方に向き直った。

 

長月 和香(ナガツキ ノドカ)

長月メディカルクリニック現院長代理の女医である。先代であり院長である父がが意地で院長の座を譲らない為、肩書きが院長代理である。和香という名前の通りおっとりとした雰囲気を纏った女性だ。おっとり雰囲気とは裏腹に真摯に患者と向き合う姿は近所の者ならば誰もが知っている名物女医だ。

 

長月メディカルクリニックは和香の祖父の祖父の父が江戸末期に蘭学医として開業する際に土地を買い求め、以後改築・改装・改名を何度か繰り返したのち今の姿がある。和香が院長代理となってからは大幅に機材も揃え、近くの繁華街で出る患者の用もかなり足りるようになった。連携病院も増え近所の親しまれる診療所をそのままにクリニックを経営している和香を好意的に見る者も多かった。