英語の解説で「否定的文脈でしか使わない」というとき、「否定的文脈」は、なにも NOT などを使った否定文だけを指すのではない。ここで言っている「否定的」というのは、「肯定的に事実を断定する平叙文を除くすべて」という意味である。つまり、NOT などを使った否定文はもちろん「否定的」だろうが、それ以外にも「否定的文脈」はたくさん存在する。たとえば、 afraid や object を使えば、例え平叙文でも「否定的」だし、too ~ to ~ といった「~するには~すぎる」は肯定はしていない。次の例文のように、主節が否定されていれば、補文も「否定的文脈」とみなされ、したがって any が使われている。

John didn't realize that he had swallowed any marbles.

また、疑問文もそうだし、IF 節を使った条件節、実現していない BEFORE 節も「否定的文脈」だし、さらに疑問文についていえば間接疑問文もそうである。また、次のような比較級の THAN 以下もそうである。

This diamond is larger than any I have ever seen.

次のように、感情的に驚きをあらわす場合だって、事実を肯定できていないのでそうである。

It's surprising that he told you anything like this.

こう考えると「否定的文脈」という言葉自体が非常にミス・リーディングである。どちらかというと「非肯定的文脈」といった方がまだ適切に感じる。「否定的文脈」というと、NOTを使った否定文だけでなくて、「この場合も」、「この場合も」、「この場合も」それにあたると長々と説明しなければ、必ず誤解が発生すると思う。それに、なぜ疑問文が「否定的文脈」なのか理解に苦しむ。